デジタルアートという言葉が生まれて久しいですが、はじめは「これがアートなの?」という声もありました。しかし、カテゴライズされたとしてもアートに制限はないのですから、デジタル機器を使った作品もアートなのです。
という話がうなずけるとても不思議なアート作品があります。
メディアアーティスト・坪倉輝明氏が制作した『不可視彫像/Invisible Sculpture』です。
まずは画像を御覧ください。
これがどういう状況かおわかりでしょうか?
なんだかみたことがあるシルエットが懐中電灯に照らされて影として現れてます。
「うん?・・うん?・・・??」って感じですよね。
ディスプレイの上に彫刻などないのです。なにもないのに影があるんです。
最初は私もCGかなんかだろうと思ったんです。動画を見ればなんとなくわかりますが、CGではありません。紛れもなくそこには何も有りません。
それが『不可視彫像』です。
この作品は、遡ること2017年に御茶ノ水ソラシティ カンファレンスセンターで、開催された「VRクリエイティブアワード2017」でVRCアワード審査員特別賞を受賞した作品なのですが、4年経っても色褪せず、坪倉氏の先日のツイートが話題を呼んでいます。
動画はこちら(坪倉輝明氏Twitter)
見えない彫刻作品「不可視彫像」
これかなぁ pic.twitter.com/lqnO47d9g0— 坪倉輝明@メディアアーティスト (@kohack_v) February 8, 2021
ほんとになにもないのに、影はしっかりそこにあるような振る舞いをします。
実はこの光源、懐中電灯ではなく、VRゴーグル(HTC Vive)のコントローラーなのです。方向や距離などから影の形をリアルタイムで計算し、懐中電灯で彫刻に光を当てているかのような映像を、別にあるプロジェクターから投影している・・・ということなんです。
動画内で手に持っている懐中電灯らしきものからは光は全く出ていないのです。
展示された当時はVRヘッドセットが置いてあり、それを着けてみると彫刻自体を見ることができたそうです。(もちろんバーチャルですが)
CGではないといいましたが、リアルタイムなコンピュータグラフィックスの一つではありますね。ただ、光と影を写すだけに絞って利用することでよりリアルな体験ができる作品になっていますよね。
すばらしい発想と着眼ですね。実際に見てみたい!ものです・・