皆さんの身の回りには充電が必要な機器がいくつありますか?
家電やスマホ、さらにはEV車。生活の中で充電をすることが当たり前の日課(?)となってしましました。
大した作業でもないようですが、数が多いとそれも面倒になってきます。
無線給電で充電切れなし
携帯電話の登場で電話線という制約から解放されたように、電力も無線給電によって「充電切れなし」の社会が近い将来訪れそうです。
無線給電は電磁波を使い電気を送る仕組みで、アンテナに似た送電装置から電磁波を送ったり受け取ったりして送電します。充電用のケーブルなどが不必要で、電気が切れるといった心配から解消されます。
無線給電には代表的なものとして以下のようなものがあります。
電磁誘導方式
送電側と受電側との間で発生する誘導磁束を利用して電力を送電する方式で、一般的なワイヤレス給電方式であり、回路構成が簡単で、小型かつ低コストで実現できます。また高効率であるのも特長です。
伝送距離が短く、位置ずれの影響をうけやすいのがデメリットです。
磁界共鳴方式
送電側と受電側の共振器を磁界共鳴させて、電力を伝送する方式です。
距離の長い電送が必要な際に用いられ、EV(電気自動車)の充電用途として開発がすすめられています。効率の向上が課題となります。
電界結合方式
送電側と受電側にそれぞれ電極を対面させ、キャパシタを形成、高い周波数で電気を流すと相手側電極にも電気が流れる現象(高調波電流)で伝送する方式です。
電磁誘導方式と同程度の短い送電距離ですが、位置ずれの影響をうけにくく、給電部の発熱が少ないことが特長です。高電圧発生の変圧器厚みが大きくなるのがデメリットです。
電波受信方式
送電側で電流を電磁波に変換、受電側でアンテナから電磁波を受信し、整流回路で直流電流に変換する、電磁界を利用して電力を送電する方式です。伝送距離は数メートルと長いのに対し効率が悪いのがデメリットです。
方式 | 電磁誘導方式 | 電磁共鳴方式 | 電界結合方式 | 電波受信方式 |
大電力化 | ○ | ○ | ◎ | △ |
効率 | ○ | △ | ○ | × |
伝送距離 | × | ○ | × | ○ |
–ローム株式会社HPより引用-
まずは自動車
無線給電の応用が進んでいるものとしてEV車があります。
磁界共鳴方式を使って、走行中のEV車に高効率で給電できるシステムが開発されています。高速道路や交差点の手前などに送電用のコイルを設置し、搭載したコイルが受電する方式。海外の研究では車体にコイルを搭載したものが多くなっています。
約200キロメートルの幹線道路の交差点付近に送電装置を設置したと仮定してシミュレーションすると、EVなら充電作業しなくても走り続けられるとの結果が出ています。
現在、送受できる電力は20キロワットで、さらなる大電力化を進めています。公道での実証実験の後、35年のサービス開始を目指しています。