Flightradar24やFlightAwareのような航空機追跡サービスを使えば、世界中の航空機を地図上で確認できます。さらに一歩進めると、自宅にアンテナとRaspberry Piを設置して、自分で航空機の信号を受信することもできます。
今回は、Raspberry Pi 5と屋外アンテナ、SDRドングルを使ってADS-Bフィードを行っている環境を紹介します。設定はPC Watchの記事を参考にしながら、ADSB.imのADS-B Feeder Imageを使いました。
少しマニアックですが、空の動きがリアルタイムに見える、とても面白い趣味です。
ADS-Bとは
ADS-Bとは、航空機が自分の位置、高度、速度、識別情報などを周囲へ送信する仕組みです。
正式には「Automatic Dependent Surveillance–Broadcast」と呼ばれます。航空機が発信する情報を地上局やほかの航空機などが受信することで、航空機の位置を把握できます。
趣味としてのADS-B受信では、航空機が発信する信号を自宅のアンテナで受信し、地図上に表示します。航空管制そのものではありませんが、近くを飛んでいる航空機の動きがかなりリアルに見えるのが魅力です。
ADS-Bフィードとは
ADS-Bフィードとは、自宅などで受信した航空機データを、航空機追跡サービスへ共有することです。
受信したデータは、自分の環境だけで見ることもできます。さらに、FlightAware、Flightradar24、ADS-B Exchange、AirNav Radarなどへ送信することで、世界中の航空機追跡ネットワークの一部として活用されます。
自分のアンテナで受信したデータが、航空機追跡サービスの地図や統計に反映される。これがADS-Bフィードの面白いところです。
ADSB.imとは
ADSB.imは、ADS-B Feeder Imageを提供しているプロジェクトです。
Raspberry Piなどの小型コンピューターに専用イメージを書き込み、SDRドングルとアンテナを接続することで、航空機のADS-B信号を受信できます。ADSB.imの公式サイトでは、航空機だけでなく、船舶や気象観測気球などを自分のハードウェアで追跡し、共有できる仕組みとして紹介されています。
ADSB.imの便利な点は、複数のフィード先をWeb画面から管理しやすいことです。FlightAware、Flightradar24、ADS-B Exchange、AirNav Radarなど、複数サービスへまとめてフィードしたい場合に扱いやすい構成です。
PC Watchの記事を参考に設定した
今回の設定では、PC Watchの「眠っていたRaspberry Piが“航空情報局”に!Flightradar24有料プランを無料で楽しむ裏ワザ」という記事を参考にしました。
この記事では、Raspberry PiにADS-B Feeder Imageを書き込み、Wi-Fi設定、初期設定、Flightradar24やFlightAwareへのフィード設定までの流れが紹介されています。
とくに参考になったのは、以下の部分です。
-
Raspberry Pi ImagerからADS-B Feeder Imageを書き込む流れ
-
起動後に表示される
adsb.im-feederというWi-Fiアクセスポイント -
http://adsb-feeder.local/から初期設定画面へ入る方法 -
ステーション名、アンテナ位置、標高の設定
-
Data Sharing画面からFlightradar24やFlightAwareへフィードする流れ
-
自動アップデート設定の考え方
PC Watchの記事では、ADS-B Feeder Imageが1つのイメージで複数のフィード先に対応でき、シェル操作なしで設定しやすい点も紹介されています。初心者にとって、これはかなり大きなメリットです。
今回使っている機材
今回のADS-B受信環境では、以下の機材を使っています。
| 機材 | 内容 |
|---|---|
| 本体 | Raspberry Pi 5 8GB |
| アンテナ | 屋外用 978MHz / 1090MHz対応 ADS-Bアンテナ |
| アンテナ仕様 | 12dBi 無指向性 ファイバーグラスアンテナ |
| SDRドングル | RTL2832U ADS-B Mode-S USB SDRレシーバー |
| SDR機能 | RFアンプ、1090MHzバンドパスフィルター内蔵 |
| フィード先 | AirNav Radar、FlightAware、Flightradar24、ADS-B Exchange ほか |
Raspberry Pi 5 8GBは、ADS-B受信だけに使うなら正直かなりオーバースペックです。
ADS-Bフィードだけなら、Raspberry Pi Zero 2 WやRaspberry Pi 3系でも動作する構成があります。ただし、複数サービスへのフィード、Web画面の確認、ログ管理、将来的な拡張まで考えると、余裕のあるRaspberry Pi 5は安心感があります。
設定の大まかな流れ

今回の設定は、ざっくり言うと次のような流れです。
-
Raspberry Pi Imagerを用意する
-
ADS-B Feeder ImageをmicroSDカードに書き込む
-
Raspberry PiにmicroSDカード、SDRドングル、アンテナを接続する
-
起動後、必要に応じて
adsb.im-feederのWi-Fiアクセスポイントへ接続する -
Wi-FiのSSIDとパスワードを設定する
-
ブラウザで
http://adsb-feeder.local/へアクセスする -
ステーション名、アンテナ位置、標高、タイムゾーンを設定する
-
ADS-Bを有効にする
-
Data Sharingからフィード先を選ぶ
-
Flightradar24、FlightAwareなどのアカウントと連携する
-
受信状況をマップや統計画面で確認する
シェルで細かくコマンドを打たなくても、Web画面から進められるのがADSB.imの良いところです。
ただし、Wi-Fi接続ではWPA3に対応しない場合があるため、WPA2のSSIDを使う必要があります。うまく接続できない場合は、ルーター側でRaspberry Piに割り当てられたIPアドレスを確認して直接アクセスすると解決しやすいです。
屋外アンテナにすると受信範囲が広がりやすい
ADS-B受信で重要なのは、Raspberry Pi本体よりもアンテナ環境です。
1090MHz帯の信号は直進性が強いため、建物、山、樹木、周囲の障害物の影響を受けます。屋内アンテナでも受信はできますが、屋外に設置すると受信できる航空機の数や距離が伸びやすくなります。
今回使っているのは、978MHzと1090MHzに対応した屋外用の無指向性ファイバーグラスアンテナです。無指向性なので、特定方向だけでなく周囲の航空機を広く受信できます。
ただし、屋外設置では防水処理、ケーブルの固定、雷対策、強風対策が必要です。屋根上や高所に設置する場合は、無理をしないことが大切です。
SDRドングルで航空機の信号を受信する
ADS-B受信には、SDRドングルを使います。
SDRとは「Software Defined Radio」の略で、ソフトウェアで無線信号を処理する仕組みです。今回使っているRTL2832U系のUSB SDRレシーバーは、ADS-B受信用としてよく使われるタイプです。
1090MHzバンドパスフィルターとRFアンプが内蔵されているため、航空機からの信号を効率よく受信しやすい構成になっています。
USBに挿してRaspberry Piへ接続すれば、アンテナで受信した信号をソフトウェア側で処理できます。
実際の画面はこんな感じ
以下は、AirNav Radar上で表示した航空機の様子です。

日本周辺、韓国、中国沿岸、太平洋側に多くの航空機が表示されています。黄色い航空機アイコンが多数表示され、空の交通量が視覚的にわかります。
普段はただ空を飛んでいるように見える航空機も、地図で見るとかなり密度の高いネットワークとして動いていることがわかります。
本当は実際に受信している範囲の航空機だけが見える画像もあるのですが。位置情報が明確にわかってしまうので掲載は避けます。ご了承ください。
ADS-Bフィードの面白さ
ADS-Bフィードの面白さは、自分のアンテナが空とつながる感覚にあります。
Flightradar24やFlightAwareを見るだけでも楽しいですが、自分の設備で受信したデータが地図に反映されると、楽しさが一段変わります。
とくに面白いのは、次のような点です。
-
近くを飛ぶ航空機をリアルタイムで確認できる
-
高度や速度、進行方向がわかる
-
どの空港へ向かっているのか推測できる
-
自分のアンテナの受信範囲を育てる楽しみがある
-
複数サービスへデータを共有できる
-
Raspberry Pi運用や自宅サーバー的な楽しさもある
アンテナの位置を少し変えるだけで、受信できる機体数が変わることもあります。無線らしい試行錯誤があるのも、この趣味の魅力です。
フィードすると有料プラン相当の特典が使える場合がある
Flightradar24やFlightAwareでは、ADS-Bデータを提供することで、有料プラン相当の機能が使える場合があります。
PC Watchの記事でも、Flightradar24やFlightAwareへフィードすることで、通常は有料の機能を利用できることが紹介されています。ただし、特典の内容や条件はサービス側の仕様変更で変わる可能性があります。
注意点
ADS-Bフィードは楽しい趣味ですが、いくつか注意点もあります。
まず、設置場所の情報を不用意に公開しないことです。受信局の位置情報やスクリーンショットから、おおよその設置場所が推測される場合があります。
また、屋外アンテナを設置する場合は、安全面にも注意が必要です。高所作業、雷、強風、防水処理、ケーブルの引き込みなどは慎重に行いましょう。
さらに、ADS-Bで見える情報はサービスや機体によって差があります。すべての航空機が常に正確に表示されるわけではありません。趣味や可視化用途として楽しむのが基本です。
まとめ
ADS-Bフィードは、Raspberry Pi、アンテナ、SDRドングルを使って航空機の信号を受信する趣味です。
今回の環境では、Raspberry Pi 5 8GB、屋外用ADS-Bアンテナ、RTL2832U系SDRドングルを使い、AirNav Radar、FlightAware、Flightradar24、ADS-B Exchangeなどへフィードしています。
設定にはADSB.imのADS-B Feeder Imageを使いました。PC Watchの記事を参考にすれば、Raspberry Pi ImagerでmicroSDカードへ書き込み、Web画面から初期設定とフィード先の設定を進められます。
空を見上げるだけではわからなかった航空機の動きが、自分の設備を通じて地図上に現れる。これがADS-Bフィードの一番面白いところです。
Raspberry Piや無線、航空機が好きな人にとって、自宅で始められるかなり奥深い趣味だと思います。
FAQ
ADS-Bフィードとは何ですか?
ADS-Bフィードとは、自宅などで受信した航空機のADS-B信号を、FlightAwareやFlightradar24などの航空機追跡サービスへ共有することです。
ADS-B受信に必要なものは何ですか?
主にRaspberry Pi、microSDカード、SDRドングル、1090MHz対応アンテナ、インターネット回線が必要です。屋外アンテナを使うと受信範囲が広がりやすくなります。
Raspberry Pi 5は必要ですか?
ADS-BフィードだけならRaspberry Pi 5は必須ではありません。Raspberry Pi 5 8GBはかなり余裕のある構成です。複数サービスへのフィードや将来的な拡張を考える場合は安心感があります。
ADSB.imは何が便利ですか?
ADSB.imは、ADS-B Feeder Imageを使ってRaspberry Piなどに簡単に環境を作れる点が便利です。Web画面から初期設定や複数フィード先の管理ができるため、初心者でも始めやすい構成です。
屋内アンテナでも受信できますか?
屋内アンテナでも受信できます。ただし、1090MHz帯の信号は建物や地形の影響を受けやすいため、屋外や見通しのよい場所に設置したほうが受信しやすくなります。
ADS-Bは本物のレーダーですか?
厳密にはレーダーではありません。ADS-Bは航空機が発信する位置情報などを受信する仕組みです。ただし、地図上で航空機の動きを見られるため、趣味としては「自宅航空レーダー」のように楽しめます。
Flightradar24やFlightAwareの有料機能は無料になりますか?
現在はフィーダーとなることで、最上位のサービスを受けています。