旬を迎えた「びわ」でも種には要注意です。

びわの種にはシアン化合物

5~6月に旬を迎える果物、ビワ。
この時期庭や公園などでも、たわわに実ったビワの果実が見られることが多くなります。

Copyright 2024 – 写真AC

ビワの実はそのままでも美味しくいただけますが、ジャムやゼリーなどにして食べると甘くておいしく、ネットやSNSには多数のレシピが投稿されています。
中には、種を使った杏仁豆腐などのレシピも見られますが、農林水産省によると、ビワの種子には注意が必要とのことです。

ビワの種子の粉末(青酸化合物)

実は、ビワやウメ、モモ、スモモ、アンズなどバラ科に分類される植物は、未熟な果実の種子に『アミグダリン』という青酸を含む天然の有害物質(以下総称して、シアン化合物)が含まれているそうです。

「ビワなどの種子(たね)や未熟な果実には、天然の有害物質が含まれています。平成29年、ビワの種子を粉末にした食品から、天然の有害物質(シアン化合物)が高い濃度で検出され、製品が回収される事案が複数ありました。ビワの種子が健康に良いという噂(うわさ)を信用して、シアン化合物を高濃度に含む食品を多量に摂取すると、健康を害する場合があります。個別の食品のシアン化合物濃度については、製造元にお問い合わせください。」と農林水産省のページにあります。
もちろん熟した果肉は、安全に食べることができます。

シアン化合物が多く含まれているのは、種子や未熟な果実とのこと。熟した果肉には、ごくわずかに含まれる場合がありますが、食べても健康に問題はありません。

でも、種子を乾燥して粉末に加工などした食品の場合、シアン化合物を一度に大量に食べてしまう危険性が高まります。

一部で、アミグダリンを『ビタミンの一種』と称したり、「がんに効果がある」といったことを謳い文句に商品が販売されていることもありますが、科学的な根拠はないとのことです。

むしろ、アミグダリンから体内で青酸ができる可能性があるため、健康への悪影響が懸念されています。
実際に、海外では、アミグダリンを含む生のアンズの種子を体に良いとして大量に食べたことによる健康被害や死亡例が複数報告されています。

アミグダリンとは

アミグダリンは、ビワなどのバラ科の植物に天然に含まれている主なシアン化合物で、マンデロニトリルに2個のグルコース(ブトウ糖)が結合した構造を持っています。
植物に天然に含まれる酵素や人の腸内細菌により、マンデロニトリルとグルコースに分解され、マンデロニトリルがさらに分解されると、ベンズアルデヒドと青酸ができます(図参照)。
青酸は、一度に大量にとると、頭痛、めまい、悪心、おうとなどの中毒症状を起こし、場合によってはけいれんや呼吸困難になり、死に至ることもあります。
なお、アミグダリンが分解してできるベンズアルデヒドは、バラ科の果実、杏仁(アンズの仁)、アーモンド(バラ科のヘントウの仁)等に特徴的な甘い香りの成分です。

いずれにしても、あまり深く考えず普通の食べ方をしていれば問題ないようです。今が旬の果物です。美味しくいただきましょう。

 

Mozilla/5.0 (Macintosh; Intel Mac OS X 10_14) AppleWebKit/537.36 (KHTML, like Gecko) Chrome/103.0.0.0 Safari/537.36  / 85

関連記事はありません