旅先の市場で好きなものを買って、ビーチで広げて飲む。私にとっては、これがかなり幸せな時間だ。
タイ・パタヤでも、ローカル市場でドリアンを買い、テイクアウトしたカオマンガイを広げ、ビーチでメニューを見ながらタイ料理を頼んで、お酒を飲んでいた。海を見ながら、ドリアンをつまみにビールやハイボール。最高だった。
でも、あとから思い出した。「そういえばドリアンって、何かと食べ合わせが悪いって聞いたことあったな」と。調べてみたら、答えはお酒だった。
そこから先は、具合が悪くなっても飲み、薬を飲みながらも飲み、最後は旅先の病院送り――という、われながら見事なまでに懲りない記録です。
旅先の市場は、それだけで楽しい

旅先の市場は、それだけで楽しい。現地の人が買うものが並んでいて、見たことのない果物が山積みで、しかも値段はローカル価格。観光客向けにきれいに整えられた場所とは違う、その土地のふだんの空気がある。
パタヤの市場も、まさにそうだった。バナナ、マンゴー、ドラゴンフルーツ。色の強い果物がずらりと並ぶなかで、ひときわ存在感を放っていたのがドリアンだった。
南国の果物の王様、ドリアン。日本では「匂いが強い」「ホテル持ち込み禁止」とクセのある果物として語られがちだけど、現地で食べたドリアンは普通にめちゃくちゃおいしかった。濃厚で、甘くて、ねっとり。これぞ南国、という味がする。
ビーチで好きなものを広げて飲む

ドリアンを買って、そのままビーチへ。テイクアウトしたカオパットクン(海老チャーハン)を広げ、座ったままメニューで頼んだのは大好きなクンチェーナンプラー。生のエビにナンプラーと唐辛子、にんにくがからむ、辛くて酸っぱいタイの一品。

市場のドリアン、カオパットクン、クンチェーナンプラー、そして冷たいビールやハイボール。場所はパタヤの海沿い、ジョムティエンビーチのあたり。海を見ながら、昼から好きなものを少しずつ。これが私にとって、旅先の最高の時間だった。
――この時間が、のちの体調不良の伏線になるとは、まだ知らない。
そういえば、ドリアンとお酒は食べ合わせが悪い

その時は、頭のどこかで少しだけ引っかかっていた。「ドリアンって、何かと食べ合わせが悪かった気がするな」と。牛乳だったか、炭酸だったか、薬だったか――思い出せないまま、普通に飲んでいた。
あとから調べて、答えがわかった。相性が悪いと言われているのは、お酒だった。
ドリアンは硫黄を多く含んでいて、この成分がアルコールの分解に関わる酵素(ALDH/アルデヒド脱水素酵素)の働きを妨げる可能性がある、という研究があるらしい。酵素がうまく働かないと、二日酔いの原因になるアセトアルデヒドが体にたまりやすくなり、吐き気や顔の火照り、気分の悪さにつながることがある、という話だ。
ちなみに「一緒に食べると死ぬ」みたいな噂もあるけれど、そこまでの科学的な根拠はないとされている。とはいえ、体質も、その日の体調も、飲んだ量も関係する。私の不調がドリアンのせいだったのか、お酒だったのか、旅の疲れだったのかは正直わからない。それでも「ドリアンをつまみにお酒」は、ちょっと気をつけた方がよかったのかもしれない。
それにしても、だ。ビーチでドリアンを広げて、お酒を何杯も注文していた私に、現地のスタッフさんは何も言ってくれなかった。タイの人ならドリアンとお酒の話くらい知ってそうなのに。もし現地に言い伝えがあるなら、注文を取るついでにひと言「やめときな」って教えてくれてもよかったじゃないか……と、今となっては思う。まあ、言われても飲んだとは思うけど。
帰国前日から、体調が怪しくなる
楽しく飲み食いしていたパタヤだったけれど、帰国の前日あたりから雲行きが怪しくなってきた。頭が痛い。咳が出る。最初は風邪かなと思っていた。
もともと喘息持ちなので、咳が出始めると少し不安になる。現地の薬局で、咳に効くという薬を買った。

これがまた、ムカデのようなマムシのような、いかにも効きそうでちょっとおどろおどろしいパッケージ。タイの薬は、日本のものとは雰囲気が違って迫力がある。
咳も頭痛も続くなか、薬を飲みながら空港へ向かった。
それでも、スワンナプーム空港で飲む

頭は痛い。咳も出る。薬も飲んでいる。それなのに、スワンナプーム空港のラウンジにバーがあると知ると、やっぱり行ってしまう。
そこには、ちゃんとお酒があった。グラスに注がれたスパークリングワイン。旅の終わり、少し疲れた体、帰国前の名残惜しい時間。そんなところに泡があったら、女のんべえとしては素通りできない。

咳が出るなら飲むな。薬を飲んでるなら飲むな。喘息持ちならなおさら飲むな。正論はわかっている。でも、飲んだ。グラスの泡を見ながら「ああ、旅が終わるな」と思っていた。
台湾で遊ぶはずが、病院へ

そのあとは台湾経由で帰る予定で、本当なら少し遊んでから帰るつもりだった。でも体調はどんどん悪化。息が苦しく、喘息が悪くなっている感じがする。これはもう遊んでいる場合じゃない。

結局、台湾で病院にかかることになった。薬をたくさんもらい、ぶっとくて痛い注射も打たれた。観光地に行くはずが、行き先は病院。さっきまでパタヤのビーチで、スワンナプーム空港でスパークリングワインを飲んでいたのに、気づけば台湾の病院で注射を打たれている。
旅は楽しい。でも、体は正直だ。
反省はしている。でも、たぶんまた飲む

パタヤのビーチで過ごした時間は、間違いなく幸せだった。市場のドリアン、カオマンガイ、クンチェーナンプラー、海を見ながらのビール。あの時間は本当に最高だった。
ただ、今回の学びはこんな感じ。
- 旅先の市場は楽しい。ローカル価格で現地の味に出会える
- ビーチで飲むお酒は最高。海を見ながらだと何でもおいしい
- でも、ドリアンをつまみにお酒は、ちょっと考えた方がいい。酵素の働きを妨げる可能性アリ
- 体調が悪い時、薬を飲んでいる時の飲酒は、さすがによくない(反省)
そこは反省している。たぶん。