2026年6月、別府市の飲み屋街にある「小厨房 香凜(かりん)」を訪れました。
「ミシュランガイド熊本・大分2018特別版」で、ビブグルマンに選ばれたことのある餃子店です。
実はここ、今回の別府旅でどうしても行ってみたかったお店のひとつ。
「御宿 野乃別府」に泊まることを決めたのも、このお店へ歩いて行きやすいという理由が少なからずありました。
ただし、訪れたのはホテルの夕食バイキングをたっぷり食べたあと。
すでに散々飲み食いして、お腹はパンパンです。
本当なら別の日にしたほうがよさそうな状態でしたが、事前に予約を入れていたため、そのまま向かうことにしました。
最初にお断りしておくと、今回はまったく空腹ではない状態での訪問です。
料理の味に対する感想には、そのときのお腹の具合や、私自身の好みも大きく影響していると思います。
※価格やメニュー、撮影ルールは訪問時のものです。
路地にたたずむ、独特な雰囲気のお店

細い路地にたたずむ「小厨房 香凜」は、外観からしてかなり独特です。
白い看板に赤い文字で書かれた店名と、どこか異国情緒を感じる入口。
見るからに、普通の餃子屋さんとは少し違います。
こういう雰囲気のお店を見ると、自然と期待が高まります。
事前に口コミを調べたところ、一般的な餃子店と比べると、料理の値段は高めのようでした。
餃子一個が600円から800円ほどするものもあると知り、正直、少し驚きました。
それでも、
「本当においしいなら、一度は食べてみたい」
と思い、予約して訪れました。
料理のメニューは撮影禁止
私はカウンター席に座りました。
飲み物のメニューは撮影できましたが、餃子などが書かれた料理のメニューは撮影禁止とのことでした。
メニューに並んでいるのは、「豚肉とキャベツ」のような一般的な餃子ではありません。
ロバ肉や中国セロリ、ラム肉など、普段はなかなか口にすることのない食材を使った餃子が並んでいました。
名前を見ただけでは味の想像がつかず、何を注文すればよいのか迷ってしまいます。
そこで、店主の凜さんにおすすめを聞いてみることに。
この日すすめてもらったのが、ロバ肉と中国セロリの餃子、1個690円でした。
ロバ肉を食べるのは、もちろん初めてです。
さらに、お酒のつまみによさそうな酔っ払い海老、1匹890円も注文しました。
お腹いっぱいと言いながら、結局、気になる料理を頼んでしまうのでした。
餃子の皮から一枚ずつ手作り
カウンターのすぐ横では、凜さんが餃子を作っていました。
生地をこね、小さく切り分け、麺棒を使って一枚ずつ丸く伸ばしていきます。
餃子の皮から、すべて手作りです。
注文を受けてから、目の前で手際よく作られていく餃子。
見ているだけでも、餃子への強いこだわりが伝わってきました。
男性3人のお会計は約2万8,000円
料理を待っていると、先に食事をしていた男性3人組がお会計をお願いしました。
聞こえてきた金額は、なんと約2万8,000円。
餃子屋さんで、3人で2万8,000円?
思わず耳を疑いました。
もちろん、その方たちが何をどれだけ注文していたのかは分かりません。
餃子を何種類も食べていたのかもしれませんし、お酒をたくさん飲んでいた可能性もあります。
ただ、飲み物は特別高い値段ではなさそうだったので、
「きっと餃子や料理をたくさん食べたんだろうな」
と思いました。
事前に「値段は高め」という口コミを見て、ある程度は覚悟していたものの、
「やっぱり、ここ高いんだ……」
と、自分の餃子が出てくる前から少々緊張してしまいました。
1,480円のチャーハンにもびっくり
隣のお客さんは、1,480円のチャーハンを注文していました。
「この値段なら、いったいどんなチャーハンが出てくるんだろう」
気になって、運ばれてくるのを横目で待ちます。
ところが登場したのは、見た目としては比較的シンプルなチャーハン。
量も、それほど多くは見えません。
もちろん、私は食べていないので、味や使われている食材、調理方法については分かりません。
見た目は普通でも、食べれば驚くほどおいしいのかもしれません。
それでも、見た目と量だけを見た率直な感想としては、
「やっぱり、なかなかいいお値段だなあ」
と思いました。
酔っ払い海老は、お酒に合う味

餃子が出来上がるのを待つ間に、最初に運ばれてきたのが酔っ払い海老です。
大きな海老が丸ごと一匹で、価格は890円。
海老にはしっかりと味が染み込んでいて、そのままで立派なお酒のつまみになります。
海老そのものの旨みもあり、お酒によく合いました。
一匹890円と考えると、決して安くはありません。
それでも、味付けはしっかりしていて、ちびちびお酒を飲みながら楽しむにはよい一品でした。
ライチの香りがする焼酎を炭酸割りで
最初の飲み物は、ライチのような華やかな香りがする焼酎の炭酸割りです。
香りがよく、炭酸で割るとすっきりとして飲みやすい。
酔っ払い海老や、香辛料を使った料理にもよく合いました。
店内には、手作りの果実酒もたくさん並んでいます。
定番の果物だけでなく、なかなか見かけない組み合わせのお酒もあり、眺めているだけでも面白い品ぞろえでした。
肉汁まで飲み干す、ロバ肉と中国セロリの餃子

しばらくして、いよいよロバ肉と中国セロリの餃子が運ばれてきました。
凜さんからは、
「中からスープのような肉汁が出てくるので、それも飲み干してください」
という説明がありました。
皮から一枚ずつ手作りし、食べ方まで丁寧に説明してくれるところからも、餃子への強いこだわりを感じます。
さっそく食べてみると、厚めの皮はもちもち。
中からは、じゅわっと肉汁が出てきます。
ロバ肉の味も、中国セロリの香りも感じられました。
ただ、私には全体的に味が薄く感じられました。
お肉の旨みはある。
中国セロリの風味もある。
でも、何かが足りない。
考えてみると、私が欲しかったのは塩気だったようです。
卓上にあるのは唐辛子と黒酢だけ
普通の餃子屋さんなら、酢や醤油、ラー油などが卓上に置かれていることが多いと思います。
しかし、こちらにあった調味料は唐辛子と黒酢だけでした。
凜さんから、
「黒酢は少し癖があるので、苦手な方もいます。お好きでしたらかけてみてください」
とすすめられ、途中で黒酢をかけてみました。
黒酢の独特な香りと酸味が加わり、味の変化は楽しめます。
ただ、私が欲しかったのは酸味ではなく、やはり塩気でした。
卓上には、醤油も塩もポン酢もありません。
おそらく、余計な調味料を加えず、ロバ肉や中国セロリ、皮、肉汁そのものの味を楽しんでほしいという、凜さんのこだわりなのでしょう。
そのこだわりは、よく伝わってきます。
それでも、しっかりした味を好む私は、
「これ、ポン酢をつけたらもっと私好みなのになあ」
と思ってしまいました。
用意されていないものをお願いするのもためらわれたため、黒酢や唐辛子を試しながらいただきました。
凜さんからは、
「ほかにも気になる餃子があったら、遠慮なくどうぞ」
という感じで声をかけてもらいました。
ほかの餃子も食べてみたい気持ちはありましたが、何しろ夕食バイキングの直後です。
結局、注文した餃子も一個だけで手が止まってしまいました。
完全に、お店へ行く順番を間違えました。
小さな牛串は意外にも好みの味

もう一品くらい食べてみようと思い、500円か600円ほどだった牛串を注文しました。
ほかの料理と比べると安く感じたため頼んでみたのですが、運ばれてきたのは、小さな牛肉が刺さった細い串が二本。
私が見た範囲では、店員さんが電子レンジで温めてから出していました。
正直、運ばれてきた瞬間は、
「ずいぶん小さいな」
と思いました。
ところが、食べてみると意外にもおいしい。
何という香辛料なのかは分かりませんでしたが、普段あまり口にしないようなスパイスがかかっています。
こちらは塩気もしっかり。
このときの私には、餃子よりも牛串のほうがお酒のつまみとして合っていました。
ニンニク梅酒は素朴で懐かしい味

手作りの果実酒の中で特に気になったのが、ニンニク梅酒です。
ニンニクと梅酒。
どんな味なのかまったく想像できず、面白そうなので注文してみました。

飲んでみると、確かにニンニクの香りがします。
ただし、刺激が強すぎるわけではありません。
ベースになっているのは、どこか懐かしくて素朴な味わいの梅酒。
例えるなら、おばあちゃんが家で漬けてくれたような梅酒に、ニンニクの香りが加わった感じです。
かなり個性的ですが、これはおいしくいただきました。
評価は高い。でも、私には少し合わなかった
皮から一枚ずつ作られる餃子、珍しい食材を使った餡、個性的な手作り果実酒。
一般的な餃子屋さんとは違う、独自の世界観を持ったお店でした。
手間をかけて餃子を作っていることや、料理へのこだわりは、実際にカウンターで見ていても伝わってきます。
ただ、率直に言うと、期待が大きかった分、私には少し期待外れでした。
全体的に値段が高く感じられたこと。
楽しみにしていた餃子が、しっかりした塩気を好む私には物足りなかったこと。
そして何より、夕食バイキングの直後に訪れてしまい、料理を楽しめるほどお腹が空いていなかったこと。
これらが重なり、今回は、お店の評価の高さに納得できるほどの満足感は得られませんでした。
私自身は、たぶん再訪しないと思います。
とはいえ、私が事前に見た口コミでは高く評価する声が多く、手作りの皮や素材本来の風味を楽しみたい人には、魅力的な餃子なのだと思います。
きちんとお腹を空かせた状態で食べていたら、私の印象も違っていたのかもしれません。
評判のよい店が、必ずしも自分の好みに合うとは限りません。
今回は少し期待外れではありましたが、ずっと気になっていたお店へ実際に足を運び、自分の舌で確かめられたことには満足しています。
そして今回、何より強く学んだことがひとつ。
夕食バイキングのあとに、予約した餃子店へ行ってはいけない。
これに尽きます。