1. なぜ顔に「強い影」ができてしまうのか?
屋外での直射日光や、室内での強い照明など、撮影環境によっては顔に「真っ黒な影」が落ちてしまうことがあります。この影を無理に明るくしようとすると、肌の質感が損なわれたり、不自然な仕上がりになりがちです。
今回は、Photoshopの機能を駆使して、**「質感を残したまま、影だけを自然に弱くする」**プロのテクニックを3つご紹介します。
2. 【手法1】Camera Raw フィルター(最も速くて確実)
私が現場で最も多用するのが、この「Camera Raw」を使った方法です。
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対象レイヤーを右クリックし、**「スマートオブジェクトに変換」**します(後でやり直しが効くため必須です)。
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フィルター > Camera Raw フィルター を選択。
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**「シャドウ」**スライダーを右に動かします。これだけで暗い部分の階調が復元されます。
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さらに**「マスク」機能(円のアイコン)を使い、「人物を選択」>「顔の肌」**のみにチェックを入れます。これで、背景をそのままに顔の影だけをピンポイントで補正できます。
◎メリット: 直感的な操作で、肌の階調を壊さずに補正できる。
3. 【手法2】トーンカーブとマスク(部分的な微調整に最適)
特定の強い影(鼻の脇や目の下など)を「狙い撃ち」したい場合に有効です。
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トーンカーブ調整レイヤーを作成し、中央付近を上にドラッグして画像全体を明るくします。
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レイヤーマスクを選択し、Ctrl + I で反転(黒色)させ、効果を一度隠します。
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描画色を「白」にした**柔らかいブラシ(流量10〜20%)**で、影の気になる部分をなぞるように少しずつ塗ります。
◎メリット: 影を消す強弱をブラシで自由にコントロールできる。
4. 【手法3】ニューラルフィルター(AIによる最新の光操作)
PhotoshopのAI機能「ニューラルフィルター」を使えば、光の当たり方そのものをシミュレートし直すことができます。
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フィルター > ニューラルフィルター を開きます。
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**「ライトの向き(旧:スマートポートレート)」**をオンにします。
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スライダーを動かして、影になっている側から光を当てるように調整します。
◎注意点: AIが顔を再構成するため、やりすぎると「別人」のようになってしまいます。不透明度を調整して馴染ませるのがコツです。
今回は【手法2】トーンカーブとマスクを試して見ます。
顔の上にかかった強い影を弱くすることに挑戦してみたいと思います。とりあえず加工する写真を御覧ください。
今回はUnsplashさんから写真をお借りして勧めたいと思います。使用させていただいた写真のURLを載せておきます。
https://unsplash.com/ja/%E5%86%99%E7%9C%9F/LWaFYrn4SfY
見ての通り体の右側(向かって左)部分を影で隠して撮影されています。この影になった部分を明るくして、女性の表情が全体的に見てとれるように加工していきたいと思います。
それではPhotoshopで写真を加工していきます。
まずは、いつものようにレタッチや効果のやり直しができるようにスマートオブジェクトを利用します。最初にレイヤーのコピーを1つ増やしましょう[Ctrl+J]。
コピーしたレイヤーを右クリックしてメニューの中にある「スマートオブジェクトに変換」を選択します。
影の部分を選択
まず、影の部分を選択範囲で囲みます。左側のツールから「長方形選択ツール」を選択します。
向かって顔の左側半分のを囲みましょう。対角線上になぞって範囲を指定してください。
トーンカーブで調整
トーンカーブでの調整に入ります。画面右下レイヤーパネルの「塗りつぶし調整レイヤー」からトーンカーブを選びます。
メニューからトーンカーブを選択します。するとレイヤーパネルにトーンカーブのレイヤーが出来ています。
まずは全体的に明るくしてみます。プロパティにある指のマークをクリックして、境目辺りを上にドラッグします。いつものようにやり過ぎ厳禁です。表情がわかるくらいで十分です。カーブを持ち上げ過ぎると破綻してしまいます。
今回は、シャドウ側の色相に変化はありませんでしたが、素材によっては、なんとなく赤くなったりすることがあるようです。そんなときは「RGB」と書かれたところをクリックすると、レッド、グリーン、ブルーのRGBごとにトーンを調整できますので、指で画像の上をドラッグして調整してみて下さい。
境界線をぼかす
このままだと境界線がくっきりしてしまってるので、境界線をぼかしましょう。
トーンカーブのレイヤーマスクをクリックして、上部のメニューから「フィルター」「ぼかしガウス」を選択します。
今回はぼかしの半径を120ピクセルにしてみました、今回の画像では顔も見なければなりませんが、服の部分に注目しながら調整しました。
境界線を更になめらかにする
このままでも影は明るくなっていますが、この境界線をもう少し滑らかにしたいという場合は、もう一つトーンカーブを足して調整しましょう。
再度、塗りつぶし調整レイヤーからトーンカーブをクリックし、指のマークで影の部分を持ち上げて明るくします。当然のことながら全体が明るくなります。
影の部分のみをなめらかにするために、マスクを反転して、境目だけをブラシでなぞります。
マスクを反転
まずは、トーンカーブのマスクを黒に反転させ元の明るさに戻します(隠すという表現が正しいです)。トーンカーブのマスクを選択して、[Ctrl+I]で反転します。
ブラシ(白)で境目をなぞる
左のツールパネルからブラシを選択、描画色を白にして影の境目あたり塗りましょう。
こんな感じでレタッチ終了です。
今回は、選択範囲を長方形選択しましたが、なげわなどで選択してもOKです。画面の中の一部分が暗いときなど便利に使える方法だと思います。もっと簡単な方法だと、レイヤーを複製してレイヤーの描画モードを「スクリーン」にし、不透明度を下げて、マスクで調整という方法もありますが、トーンカーブほどの調整は出来ません。
今回は以上です。
5. まとめ:状況別おすすめの使い分け
| 手法 | 向いているケース | 難易度 |
| Camera Raw | 全体的に影をバランスよく持ち上げたい時 | 初級 |
| トーンカーブ | ピンポイントで強い影を馴染ませたい時 | 中級 |
| ニューラルフィルター | 光の向きを根本から変えたい時 | 上級 |
レタッチの鉄則は「やりすぎないこと」です。影を完全にゼロにするのではなく、少し残すことで顔の立体感を保つことができます。
詳しい操作手順はAdobe公式サイトのトーンカーブの使い方も参考にしてください」
