互いの純愛を貫くためのアイテムとして、中世ヨーロッパの時代から存在するとされる「貞操帯」[1]。近年ではテクノロジーの進化に伴い、ブルートゥース(Bluetooth)を利用してスマートフォンとペアリングし、アプリ経由で施錠・解錠を行う「スマート貞操帯」が普及し、愛好家の間で注目を集めています

image:© by QIUI.
しかし、便利さの裏にはデジタルの罠が潜んでいました。今回は、過去に世界的なニュースとなった男性用スマート貞操帯の重大なセキュリティ欠陥と、そこから学ぶべきIoTデバイスのリスク、そして現在の状況について詳しく解説します。
中国企業「囚愛(Qiui)」の「Cellmate」に発覚した脆弱性
2017年に設立されたブランド「QIUI」は、スマートで革新的な大人向けアイテムを展開する企業です[3]。2018年から2019年にかけて発売され、国際市場向けに「Cellmate(セルメイト)」としてリブランディングされた男性用貞操帯は、その代表的な人気製品となりました。
しかし、この男性器に固定してアプリで操作するスマート貞操帯「Cellmate」に対して、イギリスのサイバーセキュリティ企業「Pen Test Partners」が重大な警告を発しました。
遠隔攻撃で「永久に外せない」状態に
Pen Test Partnersの発表によると、Cellmateには遠隔攻撃によって、Bluetoothを利用した鍵の解錠機能が無効化されてしまうセキュリティ上の欠陥が存在することが判明しました[1]。 悪意のある第三者によってシステムが乗っ取られた場合、利用者は自分の意思やパートナーのスマートフォン操作に関わらず、永久にこの器具を外せなくなる恐れがあったのです。
物理キーは非搭載。万が一の脱出方法は「グラインダー」のみ?
この問題が特に「悲報」として扱われた最大の理由は、Cellmateに物理的な解錠機能(物理キー)が一切備わっていなかった点にあります。
デジタルな不具合が起きた際、手動での鍵の開け閉めに切り替えるフェイルセーフ機能が存在しませんでした[4]。そのため、ハッキングやシステムの不具合によって開かなくなってしまった場合、物理的な工具(グラインダーなど)を用いて強引に金属を切断するしか、器具を取り外す方法がありません[4]。
デリケートな部位のすぐそばで、火花を散らすグラインダーを使用しなければならないという事態は、ユーザーにとって想像を絶する恐怖と言えます。

現在の状況と利用時の注意点(最新情報)
現在、このセキュリティ欠陥に関する大部分の問題は、公式のスマートフォンアプリのアップデートによって修正されています[4]。 ただし、旧バージョンのアプリをインストールしたまま使用し続けている場合は依然としてリスクが残るため、ユーザーは早急にアプリを最新版にアップデートするよう注意が必要です[4]。
メーカーのその後の動向
なお、メーカーであるQIUIはその後も製品の改良を続けています。2021年から2022年にかけて、Cellmateは「Cellmate 2.0」へとアップグレードされ、さらに現在は「CAG.INK」という名称にリブランディングされて販売が継続されています[3, 5]。公式ストアでは現在も「CAG.INK Chastity Cage LONG MODEL」や「QIUI CAG.INK Pro Chastity Cage」などが販売されています[5]。
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スマートデバイスに命(と急所)を預けるということ
「Cellmate」の事例は、インターネットやBluetoothに接続されるIoTデバイスが持つ潜在的なリスクを如実に示しています。どれほど便利で革新的なアイテムであっても、「デジタル制御が失われた際に、物理的な緊急回避手段(アナログの鍵など)が用意されているか」を確認することは非常に重要です。