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【絶対観てほしい!】明るく笑えて泣ける名作「Coda あいのうた」観てみた

以前王様のブランチで紹介されているのを見て、おもしろそうだなぁと気になっていた「Coda(コーダ) あいのうた」。
残念ながら観に行くタイミングを逃してしまい、公開から2年が経ってしまっているのですが、最近U-NEXTで観れることを知り早速観てみることに。

もうめちゃくちゃ泣けました。大号泣です。
こんなに良い作品だったなんて・・・。

映画を観たあとに知ったのですが、なんとアカデミー賞に加え、作品賞含む主要3部門受賞で史上最多の4冠に輝き、サンダンス映画祭史上最高傑作と評価を受けています。

さらに上映されるや、各国のバイヤーが殺到し、約26億円というサンダンス映画祭史上最高額で落札されたとか。

凄すぎる・・・

今回はそんな映画「Coda あいのうた」のレビューを書いていこうと思います。

あらすじ

マサチューセッツ州の海辺の町で暮らす少女ルビーは、耳の聴こえない両親と兄のために生活のサポートをしていました。そんな中、高校の新学期で合唱クラブに入部したルビーは、そこで顧問の先生に歌の才能を見出され、初めて夢を抱くようになりますが・・・

明るくてユーモア満載

この映画の良いところは変にお涙頂戴になっていないところだと思います。

映画のタイトルにもなっている「Coda(コーダ)」とは、“耳の聴こえない両親に育てられた子ども”という意味。そのコーダとろう者がテーマになっているならシリアスなシーンが多いのかな、なんて思いながら観ていたのですが、その逆。

悪びれもなくおならする父にルビーが怒ったり、兄が出会い系アプリで見つけた女の子を「この子どう?」なんて言って母に品定めさせたり、健聴者と同じようにごく自然に生活している様子が描かれています。
中には暴言とか下ネタとか下品な会話を手話で話したりする場面も。
なんというか、想像していたよりずっと明るくてユーモア満載!
手話なのでその場は静かなんですが、会話の中にどことなく“にぎやかさ”を感じます。
全てのろう者とその家族がこうであるわけではないと思いますが、自分はかなり偏見の目で見ていたんだなと痛感するシーンでもありました。

実際のろう者の俳優をキャストに起用

映画を観るうえで注目したいのが、メインキャスト陣。

なんと父親、母親、兄役の俳優さんは実際に耳が聴こえないろう者の方なんです。
オファーされた母親役のマーリー・マトリンが、父親役も兄役も実際のろう者を起用することを望んで実現したんだとか。
ろう者の役を実際のろう者の方が演じることで、よりリアリティのある作品になったんだと思います。

 

ろう者の世界

ルビーが所属する合唱クラブの発表会に家族3人で出席するんですが、この場面の演出に驚きました。
それはルビーとマイルズがデュエットを披露するシーン。作中2人で練習するシーンが何度も描かれていて、当然その成果が発表会でお披露目されるんだと思っていたのですが、なんとここで突然音が消え完全無音状態に。
そう、ろう者視点で描いているんです。
見せ場は“ルビーとマイルズのデュエット”ではなく、“ろう者側がどのように感じているか”だったんですね。

耳が聴こえなくても

発表会のあと、ルビーが父フランクのために歌ってあげるシーンがあるのですが、こちら私の中で一番お気に入りのシーンになりました。

フランクはルビーの喉に触れてそこから伝わる振動で声を感じ取ります。
その時の表情がもうめちゃくちゃ良いんですよね。
そんな良い表情しちゃう・・・?って、涙がツーっと流れて無事涙腺崩壊。
フランク役トロイ・コッツァーの名演技でした。

そしてもう一つ、名シーンがあるんです。

それはルビーが受験の為オーディションを受けるシーン。
オーディション中は家族でも立ち入れないと言われますが、心配で居ても立っても居られずこっそりホールの2階席に忍び込む父母兄。

それに気づいたルビーは、3人に向かって歌詞を手話で表現しながら歌います。
その時のルビーの歌声、表情はとても素晴らしかったです。
前半でも歌うシーンは何度か出てきますが、ここの歌唱シーンは1番表情がいきいきしていて歌声も優しさの中に力強さがあり、本当に最高のシーンでした。

ルビーを見守る3人の眼差しも温かくて良かったなぁ。

最後に

最後まで見ていただきありがとうございました。

明るくて笑えるのにめちゃくちゃ泣ける「コーダ あいのうた」、本当に良かったです!

なによりも登場人物たちみんなあったかい!
大学に行きたいと伝えるも「お前が必要だ」と両親に反対されるルビーに、いつも喧嘩ばかりする兄レオが「家族の犠牲になるな!」と手話で伝えるところが激アツでした。実は妹想いなんですね。

そして映画を観たら誰もが好きになるであろう合唱クラブの顧問V先生。
ルビーの才能に気づき、放課後や休日も練習に付き合ってくれます。少し変わった先生ではありますが、自分の声に自信のないルビーを励まし熱心に教えるとても良い先生でした。

他キャストももちろん名演技でしたが、ルビー役のエミリア・ジョーンズもすごかった。
ルビーは手話ができて歌も上手、さらに家業である漁の仕事もできないといけない難しい役柄です。この役を演じきるため、約9ヶ月の間アメリカ式手話とろう文化、船の操縦や漁仕事の勉強に取り組んだとか。

半端じゃない熱量で見事演じきっていてかっこよかったです。

 

観ようか迷っている方、絶対に観たほうがいいです!
本当に“笑って泣ける”映画です。

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