目の不自由な人たちにとって、屋外には様々な危険が存在します。
自動車はもちろん、自転車や人、小さな段差であっても大怪我につながる可能性があります。
日本は比較的社会保障が進んでいますので、全盲の方だけでなくロービジョンの方でも、条件を満たしていれば、盲導犬を無料で利用することができます。(犬を飼うための費用は除く)
しかし、貧しい国などでは盲導犬はおろか、点字ブロックなども満足にない場合も多く、裕福な家庭で無い限り、自分や家族だけでなんとかするしかありません。
この映像には、目の不自由な親子が駅のホームを歩いている姿が映っています。
母親が、まだほんの小学生であろう息子の肩に手をおいて歩いていますが、おそらくその息子もかなりのロービジョン。ホームの縁に気づかず線路に向かって歩いていきます。
その時、電車がすぐ近くまで迫っていました。
続きは動画で
周りに誰もおらず、息子がそのままホームに落下。母親は息子がホームに落ちたことはわかったのでしょう。驚いて後退りします。
息子はまだ背が小さく、自分の力でホームに上ることができません。母親は息子の声だけを頼りに手を差し出しますが、息子に全く届きません。
その時、線路の奥から一人の男性が全力で走ってきました。子供をホームに放り上げると、自らもよじ登ります。
次の瞬間ホームに電車が入ってきました。危機一髪。目の不自由な親子は命を救われました。
母親は息子を抱きしめます。
この動画をみて、命を助けてくれた男性がヒーローなのは言わずもがなですが、ほとんど全盲の母親と、ロービジョンの息子の生活を案じました。
この子は、自分も視覚障害を持ちながら、その小さな肩で母親の命をも支え、歩いているのだと。
そう思うと涙が止まらなくなりました。きっと想像もできないほど大変な思いをして生活しているのだと思います。
親子ともに視覚障害。
デンマークの映画「ダンサー・イン・ザ・ダーク」を思い出しました。カンヌ国際映画祭でパルム・ドールを受賞した傑作です。
この映画では、主人公のセルマ(ビョーク)が目の疾患によりどんどん視力が奪われていく中、病気が遺伝していた息子の手術費用を貯め、同じ運命を辿らせないよう必死に働く姿が描かれています。
動画の親子も同じ遺伝性の目の病気なのかもしれません。
この親子だけでなく、多くの視覚障害の方々が命の危険を感じず、安心して生活できる世の中になることを願います。