※この記事は2022年7月に公開した体験談を、当時の記録をもとに2026年に再構成したものです。部活動や保護者会の仕組みは、学校・地域・年度によって異なります。
このシリーズは、2020年に中学校へ入学し、初心者から男子バレー部に入った息子の3年間を、母親の立場から振り返った全4回の体験記です。
入学直後から始まったコロナ禍、保護者による送迎や自主練、勉強との両立、高校受験、そして最後の大会。スポーツ経験のなかった母親が、息子の部活を通して実際に経験したこと、当時悩んだこと、今振り返って思うことをまとめています。
第1回は、息子がバレーボールを始めたきっかけと、コロナ禍で始まった部活動、そして入部して初めて知った「保護者の役割」について振り返ります。
バレー部に入ったきっかけは『ハイキュー!!』

息子は小学1年生から6年生まで、バレーボールとは別のスポーツをしていました。
そんな息子が中学校で「バレー部に入りたい」と言い始めたきっかけの一つが、漫画・アニメの『ハイキュー!!』でした。小学校高学年の頃から親子で見るようになり、私も一緒になって作品に夢中に。
スポーツ経験のない私でしたが、もともとバレーボールを見るのは好きだったので、「中学校ではバレーをやってみたい」という息子の選択を楽しみにしていました。
ただし、息子はバレーボールについてはまったくの初心者。経験者が多い中でどこまでできるのか、少し心配もありました。
それでも、好きなスポーツを見つけて、自分から挑戦したいと思ったなら応援しよう。そんな気持ちで中学校生活のスタートを迎えました。
ところが、入学した2020年4月。想像していた中学校生活は、いきなり大きく変わることになります。
2020年4月、部活どころではなかった中学校生活
息子が中学校へ入学したのは、2020年4月。新型コロナウイルスの感染拡大によって、入学して間もなく学校は休校になりました。
本来なら4月に部活動を体験し、5月ごろから正式入部。放課後に先輩たちと練習を始めるはずでした。でも、その頃は学校へ通うこと自体が難しい状況です。当然、部活動も始まりません。全国ではスポーツ大会の延期や中止が相次ぎ、中学生の大会も大きな影響を受けました。
その年、息子の地域でも3年生にとって最後の大会となる中体連が予定どおり開催できなくなりました。当時の息子はまだ1年生。正直に言えば、私はその時、3年生にとって最後の大会がなくなることの重大さを十分には分かっていなかったと思います。
でも、息子が3年生になって最後の大会を迎えた時、「3年間頑張ってきたものを出し切る場所が突然なくなる」ということが、どれほど大きなことだったのかようやく実感しました。
幸い、息子の地域では感染対策をしながら代替となる試合が実施され、当時の3年生も最後に試合をする機会を得ることができました。
あの頃は、「きっと1年くらいで落ち着くだろう」と思っていました。まさか息子が引退する2022年まで、感染対策をしながら部活動を続けることになるとは想像していませんでした。
初心者だった息子が、リベロとして試合へ
ようやく部活動が本格的に始まり、息子のバレー生活もスタートしました。中学校からバレーボールを始めた息子は、当然ながら最初は初心者です。
それでも、中学1年生の途中で3年生が引退し、新チームになると、リベロとして試合に出るようになりました。
部員数が少なく、経験者も多くないチームだったこともあり、初心者の息子にも早い段階から試合に出る機会がありました。
親としては、試合に出られることがうれしい反面、「中学校から始めたばかりなのに、大丈夫かな」という心配もありました。
でも息子にとっては、試合に出ることが「もっと上手になりたい」という気持ちにつながっていったのだと思います。
この頃はまだリベロだった息子ですが、その後、2年生の途中からはセッターを任されるようになります。
中学校からバレーを始めた息子が、まさかセッターになるとは、この時の私は想像もしていませんでした。
無観客試合。駐車場の車の中から応援した日
部活動が再開してからも、以前と同じように試合ができたわけではありませんでした。
大会のたびにさまざまな感染対策がありました。選手は事前に体温や体調を記録。保護者も入場時に健康状態を記入し、人数制限が設けられることもありました。
大会によっては、開会式や閉会式も省略。そして保護者として一番寂しかったのは、試合会場に入れないことでした。完全な無観客で行われる大会もありました。
息子を会場まで送ったあと、保護者は駐車場の車の中で待機。体育館の外から見ることもできず、「今、何点なんだろう」「ちゃんと試合に出ているかな」と思いながら待ったこともあります。
もちろん、試合ができるだけでもありがたい。そう思うようにはしていました。
それでも、せっかく頑張っている子どもの試合を直接見られないのは、やはり残念でした。
スマホのLIVE配信で試合を見ていた

その後、保護者1人だけが会場に入れる大会などでは、試合をLIVE配信してもらうことも増えました。会場に入った保護者がスマートフォンなどで撮影。ほかの保護者は駐車場の車の中や自宅から、配信を見ながら応援します。
当時はZoomやLINE LIVE、BANDなど、保護者同士でいろいろな方法を試しました。高校の強豪チームでは、YouTubeで得点表示まで入れながらLIVE配信しているところもあり、「すごい!」と驚いたのを覚えています。
今では動画配信自体は珍しくありませんが、当時の私たちにとっては、「会場に入れなくても、どうにか子どもの試合を見たい」という思いから始まった方法でした。
配信された試合をあとから子どもたちが見返し、プレーを振り返ることもできました。不便なことばかりだったコロナ禍ですが、こうした新しい応援の形を知ったのも、この時期でした。
入部して初めて知った「保護者の役割」
もう一つ、息子がバレー部に入って私が驚いたことがあります。それが、保護者のサポートの多さです。
私は子どもの頃に運動部へ入った経験がありません。そのため、部活=学校で先生が指導してくれるものくらいに考えていました。
ところが実際には、試合や練習試合になると保護者の出番がかなりありました。息子の部活では、基本的に部員の家庭が保護者会に入り、試合の送迎などを分担していました。
新入部員が決まると保護者会の総会があり、そこで初めて詳しい仕組みを知ります。
主な役割は、
- 練習試合や公式戦の送迎
- 遠征時のサポート
- 試合時の弁当などの準備
- 大会参加費や登録費、備品などに使う部費の管理
などでした。
送迎は複数の班に分かれ、数カ月先まで担当が決まっていました。仕事などで担当できない日は、ほかの保護者と交代。人数の少ない部活動だったこともあり、保護者同士で協力しながら回していました。

「子どもが部活に入る」だけではなかった
当時、私が入部前に考えていたのは、「息子がどの部活に入るか」ということだけでした。
でも実際には、子どもが部活に入ると、家庭にも一定の役割が生まれることがある。これは入ってみて初めて分かりました。
家庭によって、仕事の時間も違えば、兄弟姉妹の有無や生活状況も違います。当然、すべての家庭が同じように送迎やサポートをできるわけではありません。保護者同士の考え方や、部活動に対する熱量にも違いがあります。息子の部活でも、保護者の関わり方について難しさを感じる場面はありました。
今振り返ると、「部活動の練習内容」だけでなく、「保護者はどんなことをするのか」も入部前に確認しておけばよかったと思います。
学校や部によって状況は大きく違うと思いますが、
- 保護者会はあるのか
- 試合の送迎は誰がするのか
- 遠征はどのくらいあるのか
- 土日の活動はどの程度か
- 保護者の当番はあるのか
- どの程度の費用が必要なのか
こうしたことを事前に知っておくだけでも、入部後のギャップは小さくなるはずです。
ただ、今振り返ると、保護者の関わりは「大変だったこと」ばかりではありませんでした。
この時に出会った同級生の保護者たちとは、部活や自主練、試合のことなどで、何かしら毎日のように連絡を取り合うようになります。週末になれば、試合の送迎や応援、自主練などで顔を合わせる。バレーボール経験のある保護者には、息子も自主練で指導してもらいました。
入部したばかりの頃は、私もまだ、「保護者会=送迎や当番をするもの」くらいに考えていました。
でも、この時に出会った保護者たちは、その後の3年間、親子ともにバレー生活を一緒に支えてくれる存在になっていきます。そして中学校を卒業した今も、家族ぐるみの付き合いが続いています。
それは、息子がバレー部に入らなければ得られなかったものの一つです。
コロナ禍で始まった、親子のバレー部生活
アニメを見て、「バレーをやりたい」と言ったことから始まった息子の中学校生活。ところが実際に待っていたのは、休校、大会中止、無観客試合、LIVE配信、そして想像以上に多かった保護者のサポートでした。
息子にとっても初めてのバレーボール。私にとっても初めての運動部保護者。親子そろって分からないことだらけのスタートでした。それでも息子は少しずつバレーに夢中になり、私にも一緒に部活生活を支えてくれる保護者仲間ができていきました。
そして部活動が本格的に始まると、次に私が気になり始めたのが、「これだけ部活をして、勉強する時間はあるの?」ということでした。放課後の部活に加え、息子は週3日の夜の自主練にも参加するようになります。気づけば生活はすっかりバレー中心。
第2回では、部活と自主練で勉強時間がほとんど取れなくなっていった中学1・2年生と、高校受験を意識し始めるまでを振り返ります。