2023年春、我が家のひとり息子が高校進学のため家を出ました。と言っても、自宅から車で1時間程度の夫・祖父母宅での下宿です。なので完全に子育てが終わった子離れの「卒母」ではなく、でも離れて住むことになったいわゆる「プチ卒母」状態です。
※卒母とは・・・文字通り、「母親」を「卒業すること」。進学や就職などで子どもの1人暮らしが始まって子育てが一段落したり、結婚などで法的にも扶養から外れるタイミングなどが多いようです。漫画家の西原理恵子さんが2017年に出版した、自身の“卒母宣言”となった『卒母のススメ』で話題になりました。
去年の今頃は想像していなかった「プチ卒母」。息子が家を出て数カ月が経ちましたが、思いもよらない悩みが出てきたりと、送り出した私たち両親もいまだに落ち着かない日々を過ごしています。そんな、3人家族の備忘録をお伝えします。
今回は、私たち夫婦が陥った「空の巣症候群」と、「学校が楽しくて仕方がない息子」についてお伝えします。
突然襲われた「空の巣症候群」
空の巣症候群とは?
まず「空の巣症候群」についてご説明します。
空の巣症候群
子どもが成長し巣立って、巣(家)が空っぽになってしまったことが一種の喪失体験となり、寂しさなどを感じることを空の巣症候群といいます。精神医学的にはうつ状態、うつ病の一種であることが多いものです。特に内向的で人付き合いが苦手、外出より家にいる方が好きで、子育てを生きがいとしてきた専業主婦に多くみられます。空の巣症候群には更年期によるホルモンバランスの変化や、夫が仕事人間、あるいは単身赴任のため不在といった家庭的要因の影響も関係していることが多いものです。(厚生労働省・働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト こころの耳より)
この説明だと主に母親がなりやすいようですが、我が家の場合は夫婦揃って「空の巣症候群」のような状態でした。
我が家の症状
喪失感はもちろんのこと、母親の私の症状は次のようなものでした。
・入学式翌日から、息子が無事に学校に着いたか気になってしょうがない。
(実は中学校が家から徒歩2分だったので、片道30分の自転車登校が心配で仕方なかったです)
・いつもそわそわしていて、通勤途中で車を運転中に不注意で追突事故を起こしそうになる。
(普段安全運転を心がけているのですが、本当に危機一髪でトラウマになったので通勤ルートを変えたくらいです)
・お化粧したはずなのに、あろうことか眉毛を書き忘れそのまま出勤し午前中過ごしてしまう。
(昼近くにトイレに行き、手を洗いながら鏡を見た時の衝撃は今でも忘れられません)
・入学式から10日後くらいのある夜、激しい腹痛に襲われ嘔吐下痢でトイレから2時間出られない。
(翌日病院を受診し、ストレスが原因の胃腸炎と診断されました)
・暇があると、息子の小さい頃のアルバムなどを引っ張り出して見てしまう。
(娘を嫁に出した父親の気持ちが少し分かったような気がしました)
うつ状態まではいかなくとも、なかなか辛い精神状態だったのは間違いないですね。
生活の変化
また生活リズム等も大きく変わり、色んな変化がありました。
・ゴミの量が減った。(家族3人から2人になったので単純計算で今までの3分の2くらいになりました)
・夕飯の量が3人分から2人分に減ったが、作る量がいまいち掴めず多すぎることがよくある。
(おかげで毎食満腹で、ちょっとは痩せる予定が安定の現状維持です)
・それまでは塾や習い事で夜10時以降の夕食だったが、9時には食べ終わっている。
(夜な夜なNetflixで映画観たりしますが、夫はホラー好きで私は苦手なのでよくケンカになってます)
・家の中が静か。(息子を怒ることもなくなりましたが、その分家族で笑う回数も減りました)
夫婦2人の生活を楽しむことに
息子が家を出たことを知り合いや色んな人に報告すると、ほぼ9割から言われたのが「久しぶりの新婚生活は楽しい?」でした。
当時は寂しすぎて喪失感ハンパない辛い時期だったので「そんなことないですよ~」と適当に返していたんですが、2ヶ月も経つと息子が家に居ない生活にも慣れてきて、ちょっとずつ夫婦2人の生活を楽しめるようになってきました。
夕飯のメニューも息子の好み優先だったので、これまでなかなか食卓に上がらなかった食材(主に魚介類)を使って好きなメニューにしてみたり、平日夜の空いている映画館に映画観に行ったり、休日に日帰りで遠出してみたり・・・。
今でも寂しいのは変わりませんが、自由な時間が増え夫婦2人の生活を楽しめるようになったおかげで、「空の巣症候群」も徐々に和らいでいったと思います。
もし、この先お子さんが家を巣立つことが確定している方は、いずれ来るその時のために生活変化のイメージや、今のうちにやりたいことや楽しみなことを探しておくと、少しは楽かもしれません。
学校が楽しくて仕方がない息子
息子の高校生活が始まって一番救われたのは、息子が毎日学校に行くのが楽しくて仕方がないことでした。
慣れ親しんだ地域の小・中学校とは違い、同級生の人数もこれまでと桁違いだし、部活もハードだし勉強についていくもの大変そうではありますが、「学校に行きたくない」ということは今のところありません。
フルコロナだった中学3年間とは違い、学校行事も増えて(というかコロナ前の通常に戻り)、忙しくも充実した毎日を送っています。畑や田んぼばかりの田舎から県庁所在地の都市に移り、遊び方も変わって(買い物やカラオケなど)それも楽しくて仕方ないようです。
親としては息子が高校に楽しく通ってくれることが嬉しいですし、寂しさをこらえて送り出した甲斐があるというものです。
次回は、やってみて初めて分かった「祖父母宅下宿あるある」について詳しくお伝えします。