“モキュメンタリーホラー(ドキュメンタリー風に制作されたホラー作品)”動画を公開しているYouTubeチャンネル「フェイクドキュメンタリーQ」。ホラー好きな筆者が、このチャンネルのおすすめ回をご紹介していきます。
古いVHSテープに記録された奇妙な実験
今回ご紹介するのは、シーズン2・第4話にあたるエピソード『マインドシーカー』です。 本作は、一見すると非常にシンプルな構成ながら、観る者の常識をじわじわと侵食してくるタイプのホラーでした。
映像の舞台は、男性3人が集まった一室。 彼らはブラウン管テレビでVHSテープを再生し、そこに映し出される映像を視聴しています。現在ではほとんど見かけなくなった再生環境から、撮影されたのはかなり昔だと推測できます。
3人のうち、向かって右の男性はこの映像を初めて観る立場。 一方、左の男性と撮影者と思われる人物は、すでにこのテープを体験済みの様子です。にもかかわらず、事前説明はほとんどなく、半ば強引に再生が始まります。
映像内にはロシア語らしきナレーションとテロップが流れ、内容はESPカード(ゼナーカード)を使った、いわゆる超能力テスト。 しかし、この時点では「よくある実験映像」にしか見えませんでした。
ESPカードテストが“成立しない”違和感
最初のテストは、伏せられたカードの絵柄を当てるというもの。 10秒のカウントダウン後、カードがめくられ、結果が明らかになります。これを5回繰り返しますが、右の男性はすべて不正解。
ここまでは、超能力実験としてはよくある展開です。むしろ「当たらないこと」によって、映像の信憑性が担保されているようにも感じました。
ところが、事態はここからおかしくなります。
巻き戻しで結果が変わるという異常事態
左の男性と撮影者は、映像を巻き戻してもう一度挑戦させようと提案します。 しかも、映像を消去して編集するのではなく、再生中のテープをそのまま早戻し。アナログ媒体であるVHSの特性を考えれば、内容が変わる余地はありません。
当然、2回目は先ほどのカードの順番を覚えていれば、全問正解できるはずです。
しかし結果は変わっていました。
最初は「+」「〇」「☆」「波」「□」だったカードが、2回目には全く異なる並びに。これには初見の右の男性だけでなく、既に体験済みの2人も「俺たちが見たときもこうだった」と語ります。
偶然や記憶違いで片付けるには、あまりに不自然。ここで初めて、この映像が単なる実験記録ではないことを、観る側も突きつけられます。

映像に干渉する「念力」という発想
続く映像では、一本の紐で宙に浮かされた風船を、念力で動かすという実験が映し出されます。 当然、録画済みの映像で風船が動くはずがありません。
ところが、再び巻き戻して再挑戦すると、風船がわずかに揺れ始めるのです。
ここで恐ろしいのは、「超能力が存在するかどうか」ではありません。
すでに過去として固定されているはずの映像に、今この瞬間の意思が干渉しているかもしれない、という点です。
最後に登場するのは、後ろ向きに立つ女性。「振り向かせる」という、いかにも無理のある課題ですが、2回目の挑戦で、確かに女性はわずかにこちらを向き始めます。
従来の心霊映像では「再生のたびに少しずつ動く」という演出は珍しくありません。しかし本作が新鮮なのは、「自分の念力で動かしているかもしれない」という能動的な恐怖を観る側に錯覚させる点でした。
語られない結末が残す後味の悪さ
正直に言えば、私ならこの時点で再生を止めます。 ですが彼らは、さらに3回目の挑戦を選びます。この判断が正しかったのかどうか――その結末は、ぜひご自身の目で確かめてください。
派手などんでん返しがあるわけではありません。それでも、「理屈が一切通じないもの」が静かに積み重なっていく恐怖は、確実に残ります。
映像の後日談や解説、取材シーンなどは一切なく、映像の中の映像が終わるだけ。 何も語られないまま幕を閉じるからこそ、想像の余地が残り、余計に不気味なのです。

まとめ:理屈が通じないものへの根源的な恐怖
心霊や超能力といったテーマは、「時間」や「空間」という人間の理解を簡単に飛び越えてしまいます。 だからこそ、私たちはそれを怖いと感じるのでしょう。
『マインドシーカー』は、派手さはありませんが、
観た後にじわじわと思考を侵食してくる、非常に嫌なタイプのホラーでした。
静かな恐怖が好きな方には、ぜひ一度体験してほしい一本です。