TBSアナウンサーの安住紳一郎さんがパーソナリティを務めるTBSラジオ『安住紳一郎の日曜天国』(以下「にち10」)。
私はTBSラジオの電波が届かない地域に住んでいるため、普段はポッドキャストで番組を楽しんでいます。
そんな私が毎年楽しみにしている話題の一つが、千葉県成田市の成田ゆめ牧場で開催される「全国穴掘り大会」です。
「穴を掘る大会」と聞くと、なんとも地味な競技を想像するかもしれません。
ところが、実際には1本のスコップをチームでつなぎ、制限時間内にどこまで深く掘れるかを競う、かなり本格的な大会。
そして『安住紳一郎の日曜天国』では、この大会が単なる珍イベントとしてではなく、出場者たちの人生や家族、ライバルとの関係まで含めた「物語」として紹介されてきました。
今回は、2026年2月1日と2月8日の放送を聴いて、改めて感じた「全国穴掘り大会」の面白さをご紹介します。
全国穴掘り大会とは?

全国穴掘り大会は、千葉県成田市の成田ゆめ牧場で開催されているユニークな競技大会です。
第24回大会は2026年2月1日に開催されました。
ルールはシンプル。
制限時間内に、誰よりも深い穴を掘ったチームが優勝です。
しかも、総合競技部門では1チームにつき最大4人まで参加できますが、使えるスコップは「1本」。
つまり、4人で1本のスコップをリレーのようにつないで掘り進めるのです。
成田ゆめ牧場の公式発表によると、第24回大会では総合競技部門のほか、女性だけで参加する「レディース部門」、小学生以下を対象とした「ちびっこ部門」、1人で参加する「ソロ部門」も設けられていました。
単純に「力が強い人が勝つ」という競技ではありません。
誰が最初に掘るのか。
どのタイミングで交代するのか。
掘り進めた土をどう外へ出すのか。
チーム内でどのように役割を分担するのか。
短い競技時間の中で、体力だけではなく、技術と作戦、そしてチームワークが問われます。
2026年の第24回大会は、暁工業が4連覇
2026年の第24回全国穴掘り大会で総合優勝を果たしたのは、埼玉県の「暁工業」。
記録は2メートル35センチでした。
そして、この優勝によって暁工業は4連覇を達成。
全国穴掘り大会を語るうえで、現在欠かせない存在となっています。
暁工業はガス配管工事を手がける会社。
普段の仕事でも地面に穴を掘ることがあるという、まさに「穴掘りのプロ」です。
もちろん、仕事と競技では条件が違います。
限られた時間の中で、スコップ1本を使ってどれだけ効率よく掘り進めるか。
そこには、長年大会に出場してきたからこその経験や技術があります。
2026年の大会については、その後テレビ番組でも取り上げられ、全国穴掘り大会そのものが改めて注目を集めました。
「穴掘り」が、なぜ『日曜天国』では面白くなるのか
ここからが、私がこの大会を好きな理由です。
全国穴掘り大会そのものが面白いのはもちろんですが、『にち10』で紹介されると、単なる「珍しい大会」ではなくなります。
その理由は、出場者一人ひとりに物語があるからです。
今回の放送でも、長年番組が追い続けてきた暁工業のメンバーや、その家族、ライバルチームの話が紹介されました。
最初は「穴を掘る」という珍しい競技の話だったはずなのに、聴いているうちに、
「今年はあの人が出るのか」
「このチームはどうなったんだろう」
「今年こそライバルに勝てるのか」
と、いつの間にか応援する側の気持ちになっていきます。
これが『日曜天国』のすごさだと思います。
強豪・暁工業を追い続けるということ
番組内で長年取り上げられてきた暁工業。
2026年大会では4連覇を達成しましたが、番組を通して聴いていると、単に「今年も優勝した」というニュースでは終わりません。
選手たちの年齢や体調、これまでの大会での出来事などが積み重なっているからです。
今回の放送では、暁工業の社長・平井邦治さんについても紹介されました。
年齢を重ねれば、当然、若い頃と同じようには体が動きません。
それでも大会に出場し、チームとして穴を掘り続ける。
そこには「競技に勝つ」という目的だけではないものがあるように感じます。
長年同じ仲間と一つのことに取り組む。
毎年同じ場所に集まる。
そして、今年もまた穴を掘る。
それだけで、十分に一つの人生の物語になっています。
家族で出場する「穴掘り大会」
今回、私が特に印象に残ったのが、家族で大会に参加する人たちの話でした。
暁工業にゆかりのある女性チームには、平井さんの姉や娘さんら家族も参加。
番組では、娘さんが中学生の頃から大会に登場し、その後、結婚や出産を経ても大会に参加しているという時間の流れが紹介されました。
これが、とてもいいのです。
普通なら「穴掘り大会に出場した」という一つの出来事で終わります。
ところが、番組が毎年取り上げ続けることで、
「中学生だった子が大人になった」
「家族が増えた」
「それでも今年も参加している」
という変化が、リスナーにも見えてきます。
ラジオを長く聴いていると、会ったこともない人たちなのに、なぜか親戚のような気持ちになってくる。
私は、これこそ長寿番組ならではの魅力だと思っています。
ライバル「チーム印旛沼」も面白い
『にち10』では、暁工業だけでなく、そのライバルたちにもスポットが当たります。
今回紹介されたのが「チーム印旛沼」。
前年のレディース部門で優勝したチームで、メンバーには元ラクロス選手や土壌研究家、トレーナー、元自衛官など、個性的な経歴を持つ人たちがいます。
番組内では、暁工業を応援する空気が強いことから、自分たちを「ヒール役」と表現する場面もありました。
この関係性がまた面白い。
一方的に「こちらが主人公、こちらが悪役」と決めつけるのではなく、本人たちもそれを楽しみながら参加している。
こうしたユーモアがあるからこそ、競技そのものだけでなく、参加者同士の関係にも興味が湧いてきます。
「AMラジオではオリンピックよりも有名」という言葉
2026年2月8日の放送では、大会結果についても紹介されました。
総合優勝は暁工業。
4連覇という結果になりました。
そして番組では、穴掘り大会に参加したチームが打ち上げで訪れた店の主人もAMラジオのリスナーで、「AMラジオではオリンピックよりも有名」といった趣旨の言葉をかけられたというエピソードも紹介されました。
もちろん、これは文字通り「日本中でオリンピックより有名」という意味ではありません。
でも、『日曜天国』を長く聴いているリスナーにとっては、妙に納得してしまう言葉です。
テレビや新聞では、なかなか主役にならない「穴掘り大会」。
ところが、毎年番組で紹介され、選手たちの名前やエピソードが積み重なっていく。
そうすると、リスナーの中では、いつの間にか「今年も穴掘りの季節が来た」と感じる恒例行事になっていくのです。
ラジオは「出来事」を「物語」に変えていく

今回、全国穴掘り大会の話を聴いて改めて感じたのは、ラジオの力です。
「穴を掘って、一番深かったチームが勝つ」
文字にすると、これだけの話です。
でも、そこに、
・毎年出場する選手
・長年のライバル
・家族の成長
・過去の優勝や敗北
・選手たちの体調や年齢
・番組とリスナーとの関係
が加わると、一気に物語になります。
そして、その物語を何年も追い続けることで、リスナーの側にも記憶が蓄積されていきます。
「今年はどうなったんだろう」
そう思わせることができるのは、単発のニュースではなく、継続して伝えてきたからこそです。
穴の深さ以上に、物語が深い
「全国穴掘り大会」という名前だけを聞いたら、私はきっと知らないままだったと思います。
でも、『安住紳一郎の日曜天国』を聴いていると、毎年この時期になると「今年も穴掘りの季節か」と思うようになりました。
そして、選手たちの名前を聞くと、勝手に「今年はどうだったんだろう」と気になってしまう。
これは、ラジオが単に情報を伝えているだけではなく、人と人との物語を時間をかけて育てているからなのだと思います。
穴を掘る。
ただ、それだけ。
でも、その穴の向こうには、仕事があり、家族があり、仲間がいて、ライバルがいて、そして毎年楽しみにしているリスナーがいる。
だから私は、全国穴掘り大会の魅力を、単純に「珍しい競技」とは思えません。
穴の深さ以上に、そこに積み重なった物語が深い。
2026年も、楽しく聴かせていただきました。
安住さん、そして大会に参加された皆さん、今年もありがとうございました。