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【TXQ FICTION】55年前に失踪した女性を追う公開捜索特番「イシナガキクエを探しています(1)」

テレビ東京で放送されたフェイクドキュメンタリーシリーズ番組「TXQ FICTION」。
本シリーズは、数々のモキュメンタリー作品を手がけてきた大森時生氏と、YouTubeホラー界で人気を集める「ゾゾゾ」や「フェイクドキュメンタリーQ」に関わる皆口大地氏がプロデューサーを務めています。

放送前からホラーファンの間で注目を集めていた本作。
本記事では、ホラー作品を長年視聴してきた筆者の視点から、第1弾『イシナガキクエを探しています』第1回をレビュー・考察します。

※本記事はネタバレを含みます。

番組の概要:55年前の失踪者を追う「公開捜索番組」という体裁

第1弾のテーマは、1969年から行方不明になっている女性「イシナガキクエ」さんの公開捜索。
番組は以下の設定で進行します。

依頼主:米原実さん(84歳)。生涯をかけてイシナガキクエさんを探し続けましたが、番組制作中に亡くなってしまいます。

イシナガキクエさんの特徴:身長145cm、小柄、会話ができない(おとなしい性格)。

スタジオゲスト:お笑いコンビ「ラランド」のサーヤさん、元警視庁捜査一課の神崎一郎さん。

形式としては、かつてテレビで放送されていた“行方不明者公開捜索特番”そのもの。
電話受付スタッフが並び、情報提供を呼びかける構成は極めてリアルです。

しかし、視聴後に残るのは単なる再現番組とは異なる、説明しがたい不気味さでした。

「派手さ」ではなく“違和感”

この作品が秀逸なのは、直接的な恐怖演出ではなく、日常の中の微細なズレを積み重ねている点にあります。

① 名前の不確かさ

「イシナガキクエ」という名前は提示されるものの、苗字の漢字は不明。
さらに近隣住民は彼女の存在を知らないと証言します。
“探している人物の実在性が揺らぐ”構図は、他のモキュメンタリーシリーズでもよく見るのですが、本作ではその提示がとてもナチュラルなんです。

② AI補正写真の不穏さ

番組内では、古い写真をAIで鮮明化する演出があります。
しかし、その仕上がりはどこか人間離れしており、視聴者の認知に違和感を残します。

③ 深夜の人影映像

視聴者投稿という体裁で紹介される映像。米原さん宅周辺を徘徊する複数の人影。決定的な説明はなく、“意味を確定させない編集”がじわじわと恐怖を持続させます。

考察:イシナガキクエは何者なのか?

第1回目を視聴して、個人的に気になったポイントを考察します。

「家族」という言葉の重み

米原さんは彼女を「家族みたいなもん」と言いました。しかし、他の住民は「米原家の家族は全員亡くなった」と証言しています。イシナガキクエさんは、表に出せない「家」の秘密、あるいは土着的・呪術的な役割を背負わされていた存在だったのではないでしょうか。

「会話ができない」の真意

単に喋れないのではなく、コミュニケーションの概念が異なる、あるいは「人間ではない何か」であった可能性すら感じさせます。

まとめ:テレビ東京の本気

後ろにずらっと並ぶ電話スタッフや、視聴者からの電話に応えるときの「もしもし」ですぐに返事が帰ってこないところなど、捜索番組のリアルな感触に妙な懐かしさとゾワゾワくる恐怖がありました。AI補正という現代っぽい要素を取り入れているのもいいですね。

あまりのリアルさに、SNSでは「本物の捜索番組だと思った」という声も見られました。

全4回構成ということもあり、今後どのように物語が展開していくのか、ホラーファンとしては期待せずにはいられません。

次回以降も、引き続きレビューと考察をまとめていきたいと思います。

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