ポッドキャスト組が語るTBSラジオ『安住紳一郎の日曜天国』Vol.25“外れ回”と思ったら神回だった「佐倉綾音の日曜天国」

TBSアナウンサーの安住紳一郎さんが2005年4月からパーソナリティを務める毎週日曜日10時から放送のTBSラジオ番組『安住紳一郎の日曜天国』(以下「にち10」)。残念ながらTBSラジオの電波が届かない地域に住んでいるため、普段はポッドキャストで楽しんでいます。F2層(35歳~49歳 女性)の私が愛してやまない「にち10」のエピソードを紹介していくシリーズです。

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今回は、”外れ回”と思ったら神回だった「佐倉綾音の日曜天国」をご紹介します。

“外れ回”と思っていたら神回だった「佐倉綾音の日曜天国」

いつものように始まったSpotifyポッドキャスト『安住紳一郎の日曜天国』——のはずでした。しかし、この回の第一声は違いました。

「声優の佐倉綾音です。」

安住さんは夏休みのためお休みで、代打としてこの日のパーソナリティを務めるのは、声優の佐倉綾音さんでした。

正直に告白します。私はこの回を再生する前まで、佐倉綾音さんのことをほとんど知りませんでした。そしてさらに正直に言えば、「代打回か……今回は外れかもしれない」とすら思っていました。

長年この番組を聴いているリスナーほど、“安住さん不在回”に対して少し身構えてしまう気持ちは理解していただけるのではないでしょうか。

ところが、この予想は開始数分で完全に裏切られることになります。

「あやねる」はガチのにち10リスナーだった

「あやねる」とは、佐倉綾音さんの愛称。

番組冒頭、中澤由美子さんとのやり取りはどこかぎこちなく、佐倉さん自身も「ゆっくり喋ってくださいと直前に言われた」と語ります。普段のテンポを抑えながら話す様子から、緊張が伝わってきました。

しかし、その空気が一変したのは、彼女がこう語った瞬間でした。

「結構、年季の入ったにち10リスナーなんです。」

この一言に、長年のリスナーとして私は一気に引き込まれました。単なる代打パーソナリティではなく、「番組を聴いて育った側」の人間が、いまマイクの前に座っている。その構図自体がすでに『日曜天国』的だったのです。

佐倉さんは中学3年生の頃から声優活動を始めた一方で、同じ時期に『日曜天国』を聴き始めたと語ります。つまり彼女にとってこの番組は、キャリアの始まりと並走してきた存在でした。

不登校だった少女を支えたラジオ

番組の中盤、彼女は自身の過去について静かに語ります。

小学校高学年から不登校となり、中学校もほとんど通えなかったこと。将来の姿が見えず、不安の中にいたこと。そして、そんな時期にラジオという文化に深く触れたこと。

家では常にラジオが流れており、母親の影響で様々な番組を聴いていたそうです。その中で出会ったのが安住紳一郎さんでした。

テレビ番組で安住さんを見て「この人のことが好き」と感じ、やがて『日曜天国』へ辿り着く。学校へ行けなくなった時間にラジオを聴き、安住さんのフリートークに救われたと語る姿は、とても印象的でした。

「大人になっても、ぶつくさ言いながら生きていていいんだと思えた」

この言葉は、『日曜天国』という番組の本質を言い当てているように感じます。人生をきれいに励ますのではなく、少し歪んだままでも前に進んでいいと教えてくれる場所。それがこの番組なのです。

リスナーが“あの席”に座るという奇跡

さらに象徴的だったのは、佐倉さん自身の立場への戸惑いでした。

安住さんに会えたら遠目でもいいから見てみたい——そう思っていた一人のリスナーが、気づけば本人より先に「安住さんの席」に座っている。

「なんでだろう?」

そう笑う彼女の言葉には、夢の実現というよりも、現実感の追いつかなさが滲んでいました。

これは単なる代打出演ではありません。長年番組に支えられてきたリスナーが、その番組の一部になる瞬間でした。『日曜天国』という番組が持つ循環性——リスナーと番組が互いに人生を影響し合う関係——が、これ以上ない形で可視化された回だったと言えるでしょう。

声優・佐倉綾音という“新しい入口”

そして、ここからは完全に私個人の話になります。

冒頭で書いた通り、私はこの放送まで佐倉綾音さんを知りませんでした。しかし放送を聴き終えた頃には、すっかり印象が変わっていました。

トークの巧みさというより、「好きなものを語る人の誠実さ」が伝わってきたのです。

番組への敬意。リスナーとしての目線。そして、自分を救ってくれたラジオへの感謝。

それらが一切の誇張なく語られることで、「この人が出演している作品も観てみたい」と自然に思うようになりました。実際にその後、彼女が出演しているアニメ作品をいくつか観始めたほどです。

ラジオがきっかけで、知らなかった世界の扉が開く。これもまた、長寿ラジオ番組の持つ力なのかもしれません。

“代打回”という言葉を見直した日

『日曜天国』ではこれまでも多くの代打回がありましたが、この放送は少し特別でした。パーソナリティ不在を補う回ではなく、番組そのものの意味を再確認させてくれる回だったからです。

リスナーだった少女が成長し、人生の途中で救われた番組に戻ってくる。そして今度は、自分の言葉で誰かを励ます側になる。それはまるで、『日曜天国』が長い時間をかけて育てた物語の続編のようでした。

外れ回どころか、むしろ番組の核心に触れる“神回”。そう呼びたくなる理由が、確かにここにはありました。

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