テレビ東京で放送されたフェイクドキュメンタリーシリーズ番組「TXQ FICTION」。
本シリーズは、数々のモキュメンタリー作品を手がけてきた大森時生氏と、YouTubeホラー界で人気を集める「ゾゾゾ」や「フェイクドキュメンタリーQ」に関わる皆口大地氏がプロデューサーを務めています。
「イシナガキクエを探しています」「飯沼一家に謝罪します」に引き続き、2025年7月に第3弾として放送されたのが、「魔法少女山田」。
“魔法少女”という言葉からはホラー要素は微塵も感じられませんが、さすが「TXQ FICTION」。第1話目から不穏さがにじみ出ていました。
本記事では、そんな「魔法少女山田」のレビュー・考察を綴っていこうと思います。
▼本編はこちら。
唄うと死ぬ歌
物語の導入は、貝塚さんという男性へのインタビュー音声から始まります。
彼はとあるラジオ番組の「夏のホラー特集」で、“唄うと死ぬ歌”という都市伝説を耳にします。
「3回見ると死ぬ絵」「座ると死ぬ椅子」など、「◯◯すると死ぬ」という類の都市伝説は聞いたことあるんですが、今回は歌。唄うと死んじゃうのに、みんな普通に歌っているのがSNSで流れてくるところが不気味ですし、「歌」を「唄」としているところにも何か意味があるのでしょうか…。
ちなみに「唄うと死ぬ歌」の歌詞は以下のとおり。
逃げちゃだめだよ 負けちゃだめだよ
うつむかないで 泣かないで
悔しい気持ちが きらきら光る
それは未来の 勇気のかけら
夢は待ってる 立ち止まらないで
羽を広げいま 飛び立とう
まっすぐ生きて まっすぐ進め
誇れる自分で 輝こう
それが本当の 魔法さ
一見、勇気づけるような歌詞なのに、なぜ「死」に結びついているのでしょうか。
ラジオで流れた音源も、子どもたちの稚拙な叫び声にちかい歌声が生み出す不協和音に、途中から急激に減っていく子どもたちの声。そして変わらず聞こえ続ける男性の声。すべてが不気味です。
何より恐ろしいのは、貝塚さん自身が「初めて聴いたはずなのに、なぜかメロディを知っていた」という点です。
バラエティ番組の皮を被った違和感
動画の中盤では、探偵ナイトスクープ系のバラエティ番組「シンパイ刑事」の映像が流れます。
番組では、「19歳になっても“魔法少女”を異常に怖がる妹」を心配する日下部結菜さんの悩みを解決するために、お笑いコンビ「トム・ブラウン」の2人が日下部さんの自宅に訪問します。
最初はトム・ブラウンらしいシュールな笑いと、みちおさんと布川さんの魔法少女コスに爆笑して、「この番組普通に観てみたいな」と思うくらい安心感があったのですが、布川さんが付けた魔法少女のお面を観た途端、妹の萌花さんはパニックになってしまいます。
嫌がり方がリアルで、「これって笑っていいやつなの?」と不安になりました。
しかし、催眠術師が登場してから事態は急展。
萌花さんの魔法少女嫌いを克服するために催眠術をかけると、萌花さんは一瞬だけ、冒頭で流れたあの“唄うと死ぬ歌”のメロディを口ずさみます。
催眠術で笑顔になったその表情もどこか空虚で、何かに「上書き」されてしまったような不気味さを感じます。

自主制作映画「魔法少女おじさん」
貝塚さんの調査の結果、唄うと死ぬ歌の元ネタは三田愛子さんという監督の自主制作映画「魔法少女おじさん」に行き着きます。
唄うと死ぬ歌はいかにして出来上がったのか…。
感想
「昔どこかで見た気がする」「この曲知ってるかも」という微かな記憶の断片が、実は恐ろしい呪いや過去に繋がっているかもしれない…的な展開が、ネット時代の都市伝説を見事に現代版として再構築されているなと思いました。また、トム・ブラウンの出演パートの明るさから、徐々に不穏になっていく演出もホラー映画にはない面白さです。
“唄うと死ぬ歌”なのに、メロディが思わず口ずさみたくなるくらい頭にこびりついちゃました笑
次回は第2話をレビュー・考察したいと思います。