朝6時半、息子が「ごめん、事故った…」と電話してきた【第1話】息子からの着信
我が家の高校生の息子は、高校進学を機に家を離れ祖父母宅に下宿しながら高校に通っていました。
そんなある朝、普段なら絶対に鳴らない時間に、スマホが震えました。
時刻は、朝6時半。画面には、息子の名前。
その瞬間、胸がざわつきました。
高校生男子が、平日の朝6時半に親へ電話してくる。
それだけで、嫌な予感しかしませんでした。
「ごめん、事故った……」

電話に出ると、息子の声は明らかに動揺していました。
「ごめん、事故った……」頭が真っ白になりました。
詳しく聞くと、登校中、自転車同士の接触事故を起こしたとのことでした。
場所は、住宅街の路地裏にある見通しの悪い十字路。信号はなく、息子側には一旦停止の標識がありました。ただ、その日は少し急いでいたそうです。
十分に停止しないまま交差点へ入り、出勤途中だった相手の方の自転車と接触してしまいました。
息子は無事。でも、相手の方は怪我をしていた

幸い、息子に怪我はありませんでした。ですが、相手の方は転倒し、腕を打撲。
「怪我したと言われた」その言葉を聞いた瞬間、一気に現実味を帯びました。
ただ、救急車を呼ぶほどの大怪我ではなく、相手の方も出勤途中。
その場では会話もできる状態で、「警察にはこちらから連絡しておくので、また連絡するから」と言われ、連絡先を交換して別れたそうです。
今振り返れば、その場ですぐに警察へ連絡するべきでした。
ですが、その時は、息子も相手の方も突然の出来事に動揺していたのだと思います。
「警察」と聞いて、息子は怖くなった
後から聞くと、相手の方から「警察を呼ぼうか」と言われた時、息子はかなり怖かったそうです。
人生で初めての事故。しかも相手は大人。そして“警察”という言葉。
高校3年生だった息子は、
「怒られる」
「逮捕されるかもしれない」
そんな恐怖で頭がいっぱいになってしまったと言っていました。
さらに今回は、自分側に一旦停止の標識があった。息子自身、「自分が悪い」という認識も強かったのだと思います。
もちろん今なら、「まず落ち着いて警察を呼びなさい」と言えます。ですが、その瞬間の高校生に、そこまで冷静さを求めるのは難しかったのかもしれません。
親としても、すぐに不安になった
「なぜその場で警察を呼ばなかったのか」
息子に、事故対応の知識があるわけではありません。
でも、“事故なら警察”ということは、これまで伝えていませんでした。
どうして、こんな大事なことを今まで伝えていなかったのか、激しく後悔しました。
まずは普段からお世話になっている保険屋さんへ連絡しました。
事情を説明すると、最初に言われたのが、やはり「まずは警察へ届けてください」でした。
高校生が、一人で事故対応をした
事故後、息子はかなり落ち込んでいました。それも当然です。
高校生が、一人で事故対応をした。相手への対応。親への連絡。学校への報告。しかも相手は大人。
ほんの短時間で、一気に現実が押し寄せてきたのだと思います。
あとから聞くと、息子はかなり怖かったそうです。特に、「警察」という言葉が頭から離れなかったと。
ですが今回、息子自身、「急いでいた」という自覚を強く持っていました。
たった数秒。たった一回の一旦停止不足。それだけで、人を怪我させてしまう。
自転車でも、“加害者”になる。親として、その重みを痛感した朝でした。
あの日の朝6時半は、今でも忘れられない
高校生だから。
自転車だから。
大怪我じゃなかったから。
そんなことは関係ありませんでした。
事故は、事故。
そしてその瞬間から、本人だけでなく、家族全員の日常も大きく揺れます。
あの日の朝6時半の着信は、今でも忘れられません。
次回は、事故後の保険対応と、「すぐ謝りたいのに謝れない」という、親として一番苦しかった時間について書きたいと思います。