「TXQ FICTION」や「このテープもってないですか?」など、今話題のフェイクドキュメンタリー番組の数々を手掛けるテレビ東京が、開局60周年を記念して2023年秋に展開した異色のホラー・フェイクドキュメンタリー企画『祓除(ふつじょ)』。
開局60周年記念の式典として、2023年11月18日に横浜赤レンガ倉庫で実際に開催された「祓除」の、開催に至った経緯を説明する動画とのことですが、そもそも「祓除」というのは、穢れや禍などを除くことを意味し、これまでに人々のあいだで穢れや禍とみなされてきた映像や物品を無害化するための式典なんだそう。
テレビ局というのはその性質上、心霊映像や人々の様々な不幸などお蔵入り映像含めて「よくないモノ」が集まってしまうらしく、それを60年という節目にお祓いをして新しいスタートをきろうという企画のようです。
あまりにも怪しい企画内容ですがそれもそのはず、この企画に携わっているのは、以前ご紹介した「TXQ FICTION」シリーズの大森時生プロデューサーとホラー作家の梨氏や背筋氏ら。
分かる人には分かる本気(ガチ)な面子です。
今回は、そんな「祓除」の事前番組を考察・レビューしていきたいと思います!
日常の裏に潜む「違和感」のパッチワーク
番組は、テレビ東京のプロデューサーらしき人物へのインタビューから始まります。会話の端々に「あるスタッフがいなくなった(トんでしまった)」という不穏な噂話が混ざり込み、初っ端から不穏さがにじみ出ています。失踪したスタッフは、かつて視聴者から送られてきた「気持ちの悪い心霊写真やはがき」を保管する倉庫を漁っていたというのです。
さらに、過去のラジオ番組の音声(不可解なものが映り込んだと怯える生々しいシーン)や、テレビ局の視聴者センターに寄せられた「テレビに何かが映り込んでいる」という狂気的なクレーム電話の録音など、断片的な“不穏な記録”が脈絡なく繋ぎ合わされていきます。
この「何かおかしなことが起きているけれど、全貌が見えない」という不気味なリアリティこそフェイクドキュメンタリーの醍醐味なんですよね・・・!
怪しさと哀愁を纏う「祓除師」いとうよしぴよ氏の存在感
番組の後半では、この「祓除」の式典に関わる「祓除師(お祓いを行う人)」として、いとうよしぴよ氏(51歳)という人物の密着取材の映像が流れます。
お笑いコンビ「空気階段」の鈴木もぐらっぽさを感じるよしぴよ氏の部屋は、一見すると本や物が乱雑に置かれたいわゆる「汚部屋」ですが、本人は非常に穏やかで、独自の「お祓い論」を淡々と語ります。「アルコール除菌が邪気払いに良い」とスプレーを撒いたり、中古で買ったギターで寂しさを紛らわせたりする姿には、どこか哀愁とコミカルさすら漂います。
なんか、もっさりしすぎててほんとにこの人で大丈夫なのかなぁなんて思っちゃいます。
「お祓いとは、悪霊を力で倒したり消滅させたりするものではない。鬼神を敬してこれを遠ざく。そこに存在するものとどう向き合うかが大切」
でもこのセリフはなんだか「祓除師」っぽい。
映像に仕込まれた「見えてはいけないもの」
作中に挿入される「中止」のビデオや「不可解なはがき」の存在感も大きいですが、やはり一番ゾワッとしたのは、動画終盤でよしぴよ氏が暗闇のなか、「三玉(みたま)にご挨拶する」といって川に行ったシーン。こちらに戻ってくる際、一瞬ですが、川の方に黒い人影が見えるんです。
でもそれについては何も触れられず、わからないまま動画は終わります。
最後に
この動画は、テレビ東京が過去に手がけた『このテープもってないですか?』や『Aマッソのがんばれ奥様ッソ』などの「放送禁止系・考察型ホラー」の系譜を継ぐ傑作です。
何が一番怖いかと言えば、「私たちは今、とんでもない呪いの引き金となる映像を見せられているのではないか」というメタ的な恐怖です。番組内で語られるクレーム電話のように、この動画を観終わった私たちの画面にも、何か変化が起きるのではないか……そんな地続きの恐怖を味わえます。
ホラー好きはもちろん、考察班として映像の裏に隠された真実を解き明かしたい方には、間違いなくオススメの一本です。
気になった方はぜひ観てみてください!