【考察レビュー】テレビ東京が仕掛けるJホラーの新たな狂気「祓除 事後番組」

「TXQ FICTION」や「このテープもってないですか?」など、今話題のフェイクドキュメンタリー番組の数々を手掛けるテレビ東京が、開局60周年を記念して2023年秋に展開した異色のホラー・フェイクドキュメンタリー企画『祓除(ふつじょ)』。

「祓除」とは、穢れや禍などを除くことを意味するそうで、これまでに人々のあいだで穢れや禍とみなされてきた映像や物品を無害化するための式典として、2023年11月18日に横浜赤レンガ倉庫にて実際に開催されました。

ちなみにこの企画に携わっているのは、以前ご紹介した「TXQ FICTION」シリーズの大森時生プロデューサーとホラー作家の梨氏や背筋氏ら。
分かる人には分かる本気(ガチ)な面子です。

今回は、その式典「祓除」の開催後に起こった出来事を記録した『祓除 事後番組』をレビュー・考察していきたいと思います!

本編はこちら↓

式典中に起きた異変

動画は、2023年11月18日に実際に開催された式典「祓除」の様子を振り返るところから始まります。
人々のあいだで穢れや禍とみなされてきた映像や物品を無害化するという名目で行われた式典ということで、テレビ東京に保存されていたり、視聴者から寄せられた不気味な映像が集まります。それをいとうよしぴよ氏による「祓除の儀」によってお祓いしていくのですが、式典の終盤、不穏な事態が発生します。

なんと、いとうよしぴよ氏が、予定されていた進行を完全に無視して突然ステージを降りてしまったのです。

なぜそんなことをしたのか尋ねると、

客席に、白い顔をした異様な人たちが座っており、それが儀式の進行とともにどんどん増えていったから

当然、スタッフ側にはそんなサクラや演出の仕込みなど一切ありませんでした。SNS上でも「会場で不気味な影が見えた」という一般参加者の投稿が相次いだり、式典に対して批判する意見が寄せられたりと、式典は「なんかよくわからない」まま終わってしまいました。

暴かれる「ヤラセ」と仕組まれた配役

さらに、式典を観たという超心理学研究家の宮崎さんから、いとうよしぴよ氏が行った儀式について忠告したいことがあるとのメールが届きます。

スタッフが宮崎さんに話しを聞くと、いとうよしぴよ氏が行った儀式は、式典で流れていた映像含めて“お祓い”ではないと思ったとのこと。
そして、「あの方は本当にお祓いができる方ですか?」と尋ねます。

そこで明らかになったのは、祓除師を「いとうよしぴよ」本人として演じてもらっていたという事実。つまり、ヤラセだったということです。
「スピリチュアルに造形が深い俳優」としてキャスティングされたいとうよしぴよ氏が、スタッフとの打ち合わせで「観客がいる以上、商品として成立させるお芝居をしてほしい」「それらしく役作りをしてほしい」と、露骨な番組制作の裏側が語られます。

お祓い自体も、いとうよしぴよ氏がそれっぽく見せるために考えたオリジナルの儀式でした 。

「見鬼の才」を開いてしまった役者の末路

しかし、この「作り物の儀式」が最悪の結果を招くことになります。
番組に忠告を寄せる宮崎さんはこう指摘します。

「あれは、いわゆるお祓いではない。あの行為は『見鬼の才(けんきのさい)』を開いてしまう危険な行為だ」

「見鬼の才(けんきのさい)」というのは、「本来見えてはいけない霊的なものが、強制的に見えたり聞こえたりするようになってしまう能力」のことらしく、役者として偽りの儀式を演じ、観客を巻き込んで「調和」を達成しようとした結果、いとうよしぴよ氏は本当に霊的なチャンネルにチューニングを合わせてしまったというわけです。

いとうよしぴよ氏は式典後、連絡が取れなくなっていました。

よしぴよ氏についての情報を求め、唯一SNSで繋がっていたよしぴよ氏の友人の夏川さんに話しを聞くと、「彼のことを理解してあげられないととっつきにくいところがあるかもしれないけど、基本的にはすごく優しい人」であることが語られました。

そして、スタッフはよしぴよ氏の自宅を訪ねます。
よしぴよ氏は体調を崩し寝込んでいたそう。物に溢れ散らかった部屋も原因なんじゃないかと思うのですが・・・。
不気味なのは、彼を撮影するビデオカメラに、なぜか突如として不自然な黒いノイズが走り始める点です。物理的な故障ではなく、カメラのレンズの前にだけまるで「何か」が遮っているかのようでめちゃくちゃ不気味ですよね。

そして「視聴者」である私たちに牙が剥く

スタッフがよしぴよ氏に、あの儀式は本当に自分で考えたものなのかを尋ねると、よしぴよ氏はスタッフに通信販売で購入したというUSBメモリを差し出します。
メモリに入っている映像を流すと、「キシンヲケイシテコレヲトオザク」というタイトルが流れ、次に「繰り返しながらこの映像を見てください」というメッセージが表示され、式典の際に流れたあのグリッチの映像が流れます。
つまり、よしぴよ氏が式典で行った儀式はオリジナルではなく、この映像をそのままコピーしたものだったということです。

衝撃の事実が語られたあと、不気味な映像が立て続けに流れ、最後に式典で流れた不快なグリッチ映像とうめき声のようなノイズが流れ動画は終わります。

最後に

式典の参加者、そして画面越しにこれを見ている私たち視聴者は、なにも知らずにただ「お祓いイベント」を見ているだけだと思っていたのですが、実態は「お祓い(邪気を払う)」ではなく、「引き寄せる(邪気を開く)」儀式に巻き込まれてしまったみたいですね。

“中途半端な知識で儀式なんてやっちゃいけない”ということがよくわかる動画でした。

「祓除」は、テレビ東京がホラーモキュメンタリーを作ろうとして俳優も用意したけど、その俳優がとんでもないことをしでかしてモキュメンタリーではなく本当にやばいことが起こってしまった、という“モキュメンタリーという名のノンフィクション”と、なんだかややこしい構造になっていますが、局の60周年記念に一般の観客を入れて実際にイベントまで開催しちゃうこの壮大感は、今までにないエンタメの形でとても楽しめました!

今後もこういう壮大感のある番組が作られることを期待しています・・・!

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