「高校生のお泊まりって、みんなどうしているんだろう。」夏休みになると、SNSでこんな相談をよく見かけます。
「花火大会のあと、友達の家に泊まると言っています。」
「みんな泊まるみたいだけど、うちだけ断るのもかわいそうで……。」
「門限って、何時が普通なんでしょう?」
家庭によって答えはさまざまです。だからこそ、正解がありません。
このシリーズでは、「高校生男子」「一人っ子」という我が家の3年間を振り返りながら、門限やお泊まりについて、親子でどのようにルールを作ってきたのかをお話しします。
もちろん、これが正解だとは思っていません。
一つの家庭の実例として、「こんな考え方もあるんだ」と読んでいただけたらうれしいです。
※これは2008年早生まれの一人息子の実体験をもとに書いています。小学生時代はお泊まりにあまり興味がなく、中学生時代は新型コロナウイルス感染症の流行で外泊自体を考える機会がほとんどありませんでした。
そのため、このシリーズでは主に高校生活3年間の門限やお泊まりについてお話しします。
私が高校生だった頃
私は1980年早生まれ。高校生活を送っていたのは1990年代半ばです。
街では安室奈美恵さんの曲が流れ、少しするとSPEEDが人気になり、高校3年生の頃にはモーニング娘。もデビューしました。
友達との連絡手段はポケベルが全盛期。
私は地方の高校生だったこともあり、周りにはポケベルを持っている友達もいましたが、不思議とあまり興味がなく、結局一度も持ちませんでした。
もちろん、スマートフォンもLINEもありません。
今のように「着いたよ」「今帰るね」と気軽に連絡を取り合える時代ではなかったのです。
私は二人姉妹の長女。
父は特に娘の夜間の外出には慎重で、「夜は危ない」という考えを強く持っていました。
今思えば、それも父なりの愛情だったのだと思います。

時代は大きく変わりました。
でも、「無事に帰ってきてほしい」という親の気持ちは、昔も今も変わらないのではないでしょうか。
「お父さんに聞いてみなさい」
中学生の頃は、友達の家へ泊まるという文化自体がありませんでした。
だから、「友達の家に泊まりたい」と思ったのは、高校生になってからです。
まず母に相談すると、返ってきた言葉は一言でした。
「お父さんに聞いてみなさい。」
我が家は、父が仕事で家を空けることが多い家庭でした。
普段は母と過ごす時間が長かったものの、大切なことを決めるのは父。
母も、最終的な判断は父に任せていました。
私は「たぶん大丈夫だろう」と軽い気持ちで父に聞きました。
ところが返ってきた答えは、思っていた以上にはっきりしていました。
「高校生で外泊はダメだ。」
理由は一つ。「夜は危ないから。」
それ以上の説明はありませんでした。
父は我が家で一番怖い存在でした。だから反抗する勇気もありません。
「そういうものなんだ。」
そう受け止めて、それ以来、外泊についてお願いすることは一度もありませんでした。
最初に「ダメ」と言われたことで、それ以上悩むこともなくなったのです。

今振り返ると、父は「ダメ」と言っただけではありませんでした。
その言葉の裏には、「娘を危険な目に遭わせたくない」という思いがあったのだと思います。
当時は分かりませんでしたが、親になった今なら、その気持ちが少し理解できます。
約30年後、私は親になった
それから約30年。今度は私が、高校生男子の母になりました。
しかも一人っ子です。
高校生になると、体育祭の打ち上げ、花火大会、彼女とのデート、そして友達とのお泊まり。
私の高校時代にはあまり経験しなかった出来事が、次々にやってきます。
時代は変わりました。スマートフォンがあり、LINEですぐ連絡が取れる。位置情報を共有する家庭もあります。
それでも、夜間の事件や事故のニュースを見るたび、「無事に帰ってきてほしい」という親の気持ちは変わりません。
そんなとき、ふと思い出したのが、父のあの一言でした。
「高校生で外泊はダメだ。」父は最初に線を引きました。
一方、私は、その経験があったからこそ、「ダメ」と言う前に親子で話し合おうと思いました。
ルールを押し付けるのではなく、お互いが納得できる約束を一緒に作ろう。
それが、我が家の高校生活3年間のスタートでした。
次回予告
高校生活が始まる前、我が家が最初に決めた約束。
それが、「門限は夜9時」でした。なぜ夜9時だったのか。
そのルールは、体育祭の打ち上げ、花火大会、彼女との交際など、高校生活のさまざまな場面で試されることになります。
次回は、我が家が「門限9時」を選んだ理由と、その約束が親子の信頼関係にどのような影響を与えたのかをお話しします。