高校生男子の門限とお泊まり、どう決める? 第2話 「高校生が打ち上げ?」初めての“子どもだけの夜”と門限9時

「体育祭の日、終わったらクラスで打ち上げに行く。」

高校1年生になった息子から、そんな話が出たのは5月のことでした。

確か、体育祭は5月2日。高校生活が始まって、まだ1カ月も経っていない頃です。

「打ち上げ?」「高校生が?」

私にとっては、そこから説明が必要でした。

ところが息子にとっては、何も特別なことではなかったようです。

体育祭が終わったから、クラスみんなでご飯を食べに行く。ただそれだけ。

何も悪いことをするつもりはないし、後ろめたいこともない。

でも、私の頭の中には、「高校生だけで、夜に出かけるの?」という不安がありました。

今振り返ると、これが我が家にとって最初の「高校生の門限問題」でした。


高校生になって、初めて生活環境が大きく変わった

息子は高校進学を機に実家を離れ、高校に通いやすい祖父母宅で暮らし始めました。

それまで育ったのは、いわゆる田舎です。

夜遅くまで中高生が遊べるようなゲームセンターが近くにあるわけでもなく、繁華街もありません。

子ども同士で「夜、遊びに行こう」という環境そのものが、あまりありませんでした。

夜に出かけるといえば、地域の夏祭りくらい。

部活動の打ち上げや忘年会もありましたが、基本的には親同伴でした。

しかも、自宅などに集まって開催することも多く、子どもたちだけで夜の街へ出かけるようなものではありません。

むしろ、親たちの飲み会がなかなか終わらず、子どもたちの方が、大人の飲みに付き合わされて夜遅くまで起きている。そんなこともありました。

考えてみれば、息子は「夜9時を過ぎたら起きていてはいけない」という生活をしてきたわけではありません。

親と一緒なら、夜遅くまで過ごすこともあったのです。

だから高校生になって突然、「門限は9時ね。」と言われても、息子からすれば、「なんで?」だったのかもしれません。


私も祖父母も「高校生が打ち上げ?」だった

息子から体育祭の打ち上げの話を聞いて驚いたのは、私だけではありませんでした。

一緒に暮らしていた祖父母も、感覚はほぼ同じ。

「高校生が夜に打ち上げ?」という反応でした。

一方、息子は、「みんなでご飯を食べに行くだけ。」という感覚です。

ここに、思っていた以上のギャップがありました。

私たち大人には、「高校生だけで夜に出かける」という大きな出来事。

息子には、「体育祭が終わったから、友達とご飯を食べに行く」という日常の延長。

同じ出来事なのに、見えているものがまるで違いました。

私自身、田舎で高校生活を送り、夜遊びとはほぼ無縁でした。

だから、高校生になった息子を見ながら、「今の高校生って、こんな感じなの?」「それとも、都会の高校生だから?」と、かなり面食らったのを覚えています。


親同伴の夜と、子どもだけの夜は違う

もちろん、息子の言い分も分かります。

これまでも夜9時を過ぎて外にいたことはある。部活の集まりなどで遅くなったことだってある。

それなのに、なぜ高校生になった途端に「9時」なのか。

でも、私たち親が心配していたのは、単純に「夜9時を過ぎること」ではありませんでした。

これまでと決定的に違うこと。

それは、「大人が一緒にいない」ということです。

親と一緒に夜遅くまで過ごすのと、高校生だけで夜に出かけるのでは、私にはまったく別のことに思えました。

何かトラブルが起きるかもしれない。帰り道で何かあるかもしれない。

そのとき、近くに頼れる大人はいません。

「あなたたちが悪いことをすると思っているわけじゃない。」

「でも、夜に子どもたちだけで行動するということには、昼間とは違う心配があるんだよ。」

そんなことを話したと思います。


そして、我が家の門限は「夜9時」になった

そこで、改めて帰宅時間について考えることになりました。

祖父母の感覚。部活が終わる時間。そこから自転車で帰宅するのに必要な時間。友達との付き合いもあること。

それらを考えて、「基本的な門限は夜9時にしよう」と決めました。

最初に9時を提案したのは親です。

ただ、一方的に、「今日から9時。以上!」と決めたわけではありません。

実際に高校生活を送る息子にも、「9時なら帰ってこられる?」と確認しました。

息子は、少し不満そうでした。

でも、「絶対に無理」と反抗することもありませんでした。

こうして我が家の「門限9時」が始まりました。


最初は、ちょっと厳しいくらいでいいと思っていた

当時の私は、最初は少し厳しいくらいでいい、と思っていました。

最初から遅い時間を認めてしまって、それが当たり前になってから早くするのは難しい。

それなら、まずは少し厳しめに始めて、必要になったときに親子で考えればいい。

そんな感覚でした。

ただ、この時点では「例外」までは考えていません。

体育祭だから。花火大会だから。友達との付き合いだから。彼女ができたから。

高校生活が進んでいくと、「9時」という一つの数字では割り切れない場面が、次々に出てくることになります。

でも、このときはまだ、そんなことは知りません。


門限は「何時が正解?」ではなかった

高校生の門限は、何時が正解なのでしょう。

8時?9時?10時?

今振り返っても、私には分かりません。

住んでいる場所も違えば、交通手段も違います。部活動の終了時間も、家庭の考え方も違います。

だから、「高校生なら9時が正解」と言いたいわけではありません。

我が家の場合は、祖父母と暮らし、自転車で移動する息子の生活を考えた結果が「9時」だっただけです。

そして、もう一つ大切だったと思うことがあります。

それは、親が心配している理由を、子どもにも伝えること。

私の高校時代、父から「高校生の外泊はダメ」と言われたとき、私はそれ以上何も言えませんでした。

でも、息子とは、「なぜ9時なのか。」「私たちは何を心配しているのか。」そこを話しました。

息子が100%納得していたかは分かりません。少なくとも最初は、ちょっと不満だったと思います。

それでも、「自分が信用されていないから9時なのではない」ということは、話し合う中で分かってくれたように思います。

親と子。育った時代も、環境も違います。同じ「夜9時」という時間を見ても、感じることは違う。

だからこそ、ルールそのものより、「なぜ、このルールがあるのか」を共有することが大切なのかもしれません。

こうして始まった、我が家の「門限9時」。

ただ――。決めたからといって、すんなり守れるほど簡単ではありませんでした。

部活が終わっても、先輩の話に付き合いたい。友達とコンビニにも寄りたい。

友達との付き合いを優先して、帰宅時間が少しずつ遅くなるようになります。

そして祖父母から私のところへ、「また今夜も遅かったよ……」という相談が届くようになりました。

次回は、そんな状況に私たち夫婦もついに動いた、「門限9時を守れない問題」について振り返ります。

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