先日訃報が伝えられた絵本作家のエリック・カールさん。2021年5月23日、アメリカ・マサチューセッツ州ノーサンプトンにある自身のスタジオで家族に囲まれながら最期を迎え、91歳でした。
代表作は、なんといっても「はらぺこあおむし」。今年、日本語版刊行45周年を迎えており、日本で一番売れている翻訳絵本として、これまで430万部以上を発行してるロングセラーの絵本です。
私がこの絵本に出会ったのは約20年前、知り合いのお子さんが大好きな絵本で、一緒に遊んだ時に読んでとせがまれて初めて「はらぺこあおむし」という絵本を知りました。
その時は、「カラフルな絵本だな」「ページに穴が開いていたりして、他の絵本とはちょっと違うな」ぐらいにしか思っていませんでした。
そして時が経ち、自分が親になった時に初めて買った絵本が「はらぺこあおむし」でした。なぜか本屋さんの絵本コーナーに立った時に自然に手が伸びました。すでに大人気だった「はらぺこあおむし」は、当時、破れにくい厚めのページでサイズも小さく作れらたものがあり、まだ生後3か月ぐらいの息子にとってちょうどいいサイズだったのも、選んだ理由でした。
息子にはたくさんの本に触れてほしいと思っていたので、国内外の作家問わず絵本を一緒に楽しみました。どの絵本にもその良さがありましたが、中でも「はらぺこあおむし」は息子にとっても私にとってもお気に入りの一冊となりました。多分、とてもカラフルな色使いと、美味しいものを食べ過ぎでお腹が痛くなっちゃうけど、最後にはきれいな蝶になってというユーモアがあってハッピーな結末のストーリーが受けたんだと思います。数が増えたり、曜日が進んでいったり、いま振り返ると知育絵本としても魅力的な絵本だったと思います。読み聞かせをしている私も、もりひさしさんの翻訳された日本語が優しくてお茶目でユーモアにあふれ、読んでいて次はどんな展開になるんだろうと、言葉とページをめくるタイミングをわざと長い間を取ったりして息子をびっくりさせるのが楽しくて、本当に何度も何度も一緒に楽しみました。
今では中学生となった息子も、さすがに絵本よりも漫画を集めるようになり、成長とともに絵本も処分してきましたが、この「はらぺこあおむし」と「ぐりとぐら」シリーズだけは、大事にとってあります。
私たち親子だけではなく、「はらおぺこあおむし」で世界中の人たちが、絵本を通して素敵な時間を過ごしてきたと思います。そんな作品を生みだしたエリック・カールさんのご冥福を心よりお祈りいたします。