マイクロスリープという言葉をご存知でしょうか?
ひとことでわかりやすく言うならば瞬間的な「居眠り」です。しかし単純に”居眠り”で終わらせず、マイクロスリープを学術的な視点で認めた上でうまく付き合っていく方法を考えてみたいと思います。
マイクロスリープとは?
しかしさらに睡眠不足がひどくなってくると、眠らなければ脳に限界が訪れます。動物は眠らなければ死んでしまうのです。
そこで脳は比較的使わない部分から機能を低下させていきます。さらに睡眠不足がすすむと、脳全体を数秒から数十秒という短い時間休ませます。このような眠りが「マイクロスリープ」と呼ばれています。
殆どの方が自らの経験を思い出したのではないでしょうか?
「意識が飛んでた」という表現もありますが、眠る気などないのに気づいたら目を閉じている。そんな時、脳がマイクロスリープを必要としていると理解してください。
数秒から数十秒ということですので、仮眠とはまた少し性格が違います。仮眠は様々な研究で効果が実証されており、30分以内の仮眠を続けることで心筋梗塞や認知症予防にも効果があるとされています。仮眠でもっとも効果が高いのは20~30分で、それ以上長く深く眠ってしまうと、夜の眠りの妨げになり、逆に心筋梗塞のリスクが高まってしまうという研究結果もあります。
一日の睡眠時間も7時間~8時間がベストで、それを超えると健康にとって統計的に逆効果になっているそうです。
睡眠不足は問題ですが、このように必ずしも夜たっぷり寝ていればいいというわけでもないようです。
マイクロスリープの怖さ
たとえば運転中。
毎年、居眠り運転が原因による痛ましい事故は数多く起きています。報道では睡眠不足による居眠り運転が原因と見聞きしますが、その瞬間マイクロスリープが起きていたと推測できます。
意図せず、突然訪れるマイクロスリープにより自家用自動車の事故だけではなく、バス、船舶、飛行機といった様々な事故に繋がっているのです。
こう聞くととても恐ろしい事のように聞こえてきますが、安全な時にマイクロスリープをうまく活用できれば、より集中しなければならないシーンでの危険を軽減することができるのではないでしょうか。
人間だけじゃないマイクロスリープ
アマツバメは生活の殆どを飛んで過ごしおり、なんと飛びながら寝ているとのこと。眠った場合は降下していきますが、落下する前に覚醒して再び飛ぶ・・・を繰り返しながら睡眠をとっているそうです。さらに交尾すらも飛びながら行う場合もあるのだとか・・・
もちろん、人間に同じことができるとは言えませんが、生活の中で知らず知らずのうちに取り入れている人もいるのは確かですし、これまでの話から睡眠を分散することで良い結果につながる可能性も感じていただけたのではないでしょうか。
意図的に活用して睡眠不足を軽減
ナポレオンやエジソンは睡眠時間が4時間ほどだったとされていますが、それは、マイクロスリープをうまく活用していたからだろうと言われています。
最近では、マイクロスリープを勧める専門家もいるそうです。もし意識的にマイクロスリープをとり、脳の働きを少しでも復活させることで、その後の活動にパフォーマンスを発揮できればうれしいですよね。
例えば仕事中、能率が落ちていると感じたり、どうしても集中できない。また明らかに睡眠不足だと自覚している時に、10秒目を閉じることでマイクロスリープをとることができれば、その後の能率の向上を期待できます。
ここで問題なのは、そのまま数分寝てしまってはそれこそただの居眠りになってしまいますし、同僚からの信頼までも失いそうです・・
うまく活用していくためには数秒で覚醒し、作業に戻る必要があります。普段からこのように出来ている人もいるのかもしれませんが、「10秒だけ寝よう」といってうまくマイクロスリープしているヒトは少ないはずです。
動画内では、睡眠導入効果のあるとされるビジュアルとBGMが流れます。そこで、目を閉じマイクロスリープに入ります。(※眠いと感じるときでなければ意味がありません)10秒後にアラーム音がなりますので、そこで目が覚めるはずです。
これを3回繰り返しています。アラームで起きなかったときのために最後は確実に覚醒できるように工夫しています。
訓練動画
「居眠り」という言葉にあまりポジティブな印象はありませんでしたが、近年の研究でより短時間の睡眠をマイクロスリープとして認知され研究が進んでいます。
現代社会で働く多忙で睡眠不足の人たちの置かれた環境は様々な問題が重なっており、単純に残業を禁止すればよいという問題ではないのが実情です。
研究が進み、睡眠をより深く理解し、うまく付き合うことで、痛ましい事故や心筋梗塞などのリスクが軽減できればよいですね。