【愛に溢れた大人のラブストーリー】映画「ロマンスドール」観てみた

今回ご紹介するのは高橋一生さん、蒼井優さん主演の映画「ロマンスドール」。
タナダユキ監督が自身初のオリジナル小説を自ら監督と脚本を手掛けて実写映画化したラブストーリーです。

この予告編動画の冒頭に流れる「ままごとみたいな結婚をして、それでも僕らは夫婦というものを試行錯誤した。でも、永遠に続くものはない。永遠に手に入らないものが、あるばかりだ。」という語りにグッと心を掴まれたのと、高橋一生さん主演ということで観始めたのですが、観終わる頃には感動で涙がボロボロ。最高に素敵な作品で、お気に入りの一本になりました。
そんな映画「ロマンスドール」、早速ですがレビューしていきますね!

あらすじ

美大卒業後、フリーターをしていた哲雄は先輩の紹介でラブドール製作工場で働き始めます。そんなある日、ラブドールとは知らず、医療用乳房の型取りと信じて工場にやって来た美術モデルの園子に哲雄は一目ぼれ。やがて二人は結婚しますが、哲雄は自分がラブドール職人であることを園子に隠し続けていました。毎日が平穏に過ぎていく中、哲雄は仕事にのめり込み、園子とは次第にすれ違うようになります。離婚の危機を迎えたある日、園子はずっと胸の中に抱えてきた秘密を哲雄に打ち明けます。

作品に組み込まれた想い

ラブドールというあまり口に出しては話せない“アダルト”なモチーフが使われている作品ですが、これはタナダユキ監督がもともと「職人」という職業に憧れがあり、「“アダルト”という区分なだけで、永遠に国宝にはなれないその素晴らしい手仕事をする職人たち」にスポットライトを当てたストーリーにしたいという思いがきっかけになっているとのこと。

相川金次役・きたろうさんの出るシーンがとても良い!

映画の冒頭は、ベッドに仰向けになった哲雄と、哲雄の胸の上で眠る園子が映り「たった今、妻がその命を終えた」という語りが入る衝撃的なシーンから始まり、月日は10年前へと遡ります。

先輩の紹介で訪れた場所がラブドールを作る工場だったことに戸惑う哲雄でしたが、造形師である相川金次(演:きたろう)の「究極のラブドールを作りたいんだ」という熱い想いにほだされ、生活費のために仕方なく働き始めます。

このきたろうさん演じる相川金次(キンキンという愛称が笑えます)のコミカルでおとぼけキャラが凄く良いんですよね。
医療関係者と偽るためにわざわざ白衣を用意したり(間違えてレディースのやつを買っちゃうところにクスっとします)、自分が触れるわけでもないのに、乳房再現のために触らせてもらえないかと園子に直談判したり。出てくるシーンがとにかく面白くて楽しいんです。また、リアルな胸を再現するために生身の女性から型を取ろうと提案するほどの職人魂というか、おっぱいに対してかける情熱が半端ない。哲雄と掛け合うシーンはコントのようで観ていて微笑ましいです。

ほんとの愛を見つけるまでの10年間

園子から型取りした胸で作ったラブドールは売れに売れ、多忙な時期が4年も続きますが、哲雄は未だに自分がラブドール職人であることを伝えられずにいました。
そんな中、新しい素材を使ったラブドールの開発が始まるのですが、その最中に哲雄の師匠であり、良き相談相手でもあった相川さんが亡くなってしまいます。開発は困難かと思われたところで、両角という男が雇用され、哲雄を中心に開発が進んでいきますが、あともう一歩で完成するぞ!という時に両角が全てのデータを盗み逃げてしまいます。
全てに嫌気が差し、一人飲みに行ったあとゲームセンターに立ち寄ると、そこで出会った独身OL・ひろこと一夜限りの関係に。
この頃から哲雄と園子はお互いにすれ違うようになりました。

そんなある日、帰宅した哲雄は「父の具合が悪いから2、3日実家に戻る」と書いてあるメモを発見します。しかし義母からの電話で実家に戻るのは嘘だということが発覚。数日経ったある夜、園子は同級生だという男に連れられ帰宅します。なぜ嘘をついたのか、どこにいたのか問われる園子は「1週間待ってほしい」と伝えます。1週間が経ち、再度同じ質問をすると、園子は「私に隠していることはない?」と哲雄に尋ねます。

そこで哲雄はようやく自分がラブドール職人であること、そして一度だけ浮気したことを告白しました。園子も、自分が重荷になっているのでは…と不安になり、一度だけ浮気したと告げます。哲雄はそれを聞いても離婚する気はないと伝えますが、園子からは「1人になりたい」と言われてしまいます。翌日園子は離婚届を置いて出ていこうとしますが、哲雄は必死に引き止めます。その時、園子は自分が胃がんであること、実家に行くと嘘をついたのは検査入院のためだったこと、家を出ようとしたのは手術のためだったことを打ち明けます。

哲雄のことを愛していたからこそ伝えることができなかったんですね。

哲雄は園子の後を追い、病気と一緒に闘おうとしますが、「もう哲雄との子どもは産めない、だから離婚してほしい。」と言われてしまいます。哲雄は「子どもが欲しいから結婚したんじゃない。園子と一緒にいたい。」と今まで伝えることができなかった思いを伝え、2人はまた一緒に暮らしていくことに。何事も順調に見えた矢先、再び癌が再発してしまいます。医師からは、残された余命を充実させることを優先すべきと告げられます。

余命わずかということを知った園子は、自分を投影したドールを作って欲しいと頼みます。
それから2人は今まで離れていた心を取り戻すかのように身体を重ねます。残り少ない時間を必死に繋ぎ止めるように求め合う2人の姿がとても切ないシーンです。
ドールの完成が近づいていくとともに、園子の身体が徐々に痩せ細っていくのが辛かった…。

髪の生え際やシワの細部に至るまで園子そっくりのドールが完成。発売前に試さなければならないとドールを抱く哲雄ですが、もう彼女に触れることはできないのだと園子の死を実感し涙を流します。いくらそっくりに作ったとしてもそれはただの“人形”であって、本物に勝ることなんてないですもんね。
このときの高橋一生さんの演技にこちらも思わず号泣。愛する人に二度と触れられない、会えない悲しさが痛いほど伝わってくるシーンです。

最後に

ラブドールという“アダルト”なモチーフを扱いながらも、夫婦の愛が繊細に美しく描かれた作品でした。鑑賞後感じたのは、“相手を思いやる心、相手と向き合うこと”がどれほど大切かということ。相手を思いやることって大切だとわかっていても心に余裕がなかったり、時が経つにつれてだんだんと薄れていってしまいますよね。互いの心が一度ズレだすとなかなか元には戻りません。映画を通して、自分はパートナーのことをちゃんと思いやれているか、しっかり向き合えているか、再確認することができました。

ベッドシーンが多いのでカップルで観るには少し気まずいかもしれませんが、カップル・夫婦にこそ観てほしい、人の温もり、そして愛に溢れた映画です。是非ご覧ください!

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