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小6男子保健室登校の記録②

我が家の中学2年生の一人息子は、小学6年生の2学期末から3学期にかけて保健室登校をしていました。今は、友人にも恵まれ部活に熱中したりと中学校生活を楽しんでいますが、当時を振り返ると、息子・学校の先生方・私たち両親、それぞれが悩み苦しんだ時間でした。これから記すことは我が家の記録であり、現在不登校や保健室登校で悩んでいる人たちの解決策にはならないかもしれませんが、母としての私の反省も含めまとめてみました。

小6男子保健室登校の記録①はこちら

教室に入れなくなった理由

保健室登校が始まってからは、こんなスケジュールで過ごしていました。
・まず保健室に行く

・担任の先生と保健の先生とその日の過ごし方を決める
・教科(音楽や体育)によっては、クラスの授業を受けてみる。
・無理しない程度に教室で過ごしてみる

しかし、1日のほとんどは保健室で過ごすようになっていました。
なぜ息子は教室に入れなくなったのか、実はトラブルのあった児童とは別の問題が発生していました。

ある一部のクラスメートから「なんで体は元気なのに、保健室に居るの?ズルしてるんじゃないの?」と言われたそうです。

まあそう思うのは当然で先生からは息子の状況についてはクラスで説明していたそうですが、体調が悪いなら学校休んで治せばいいのに、なぜ元気(あくまで見た目はですが)なのに保健室にずっといるのかが納得できず、その子は直接息子に伝えたそうです。直球を受けてしまった息子は、自分の状況についてうまく説明することができず、答えられなことで更に息子への不信感が募っていったようで、完全な悪循環に陥ってしまいました。

この時は、最初の下校中のトラブルよりもクラスメートの目が怖くて教室に入れないことの方が大きな問題になっていました。息子としても、保健室登校は少し後ろめたい気持ちがあったのでしょう。母親としては、「保健室だろうと学校へ行っていることは、すごく頑張っていることだから、そこは間違ってはいない。」としか言ってあげられませんでした。

保健室にお見舞いに来てくれる友達

息子に批判的なクラスメートもいれば、その逆もいました。休み時間になると、息子の様子を見に保健室にお見舞いに来てくれる友達です。もしかしたら、単純に保健室でどんな風に過ごしているのか興味があったのかもしれないけど、自分を心配して会いに来てくれる友達のおかげで、少し教室へ行ってみようかなという勇気も湧いてきたようです。

この話を、毎晩のルーティンになっていた担任の先生との電話で知った時は、本当に嬉しかったです。実は、息子に批判的な意見を持っている子は私もよく知っている正義感の強い女の子で、その子らしいなと思いました。保健室にお見舞いに来てくれる子は男の子たちで、やはりそこには男子・女子の差があるんだなと、小学校高学年の男の子の優しさに触れ、息子も私も救われました。

 

スクールカウンセラーとの面談(息子編)

ある日、担任の先生から「息子君をスクールカウンセラー(以下SC)と面談させたいと思っていますが、お母さんいかがですか?」と電話がありました。
先述した教室に入れない問題が大きくなっていて、色々と気持ちを整理する意味でも、先生としても1か月近く長引いている状態を何とかしたいと思ったのでしょう、SCの先生とお話させてみてはという提案でした。
私としては賛成でしたが、無理やりに会わせるのは不安があり、まず息子に尋ねてみたところ、意外とすんなりと「会ってみたい」と息子が言ったので、SCが学校に来る日に面談の予約をお願いしました。

面談は、息子・担任の先生・SCの先生と3人で始まり、途中からは息子とSCの先生の2人だけでお話したそうです。

息子からの報告では、温かいミルクティーを淹れてくれて、とてもやさしい女性の先生だったそうです。面談は、主に今の状況を聞き取ることが目的だったようで、また次回、これからどんな風に学校で過ごしたり問題をいい方向へ進めていくかを一緒に話し合ってみましょうということでした。

 

スクールカウンセラーとの面談(保護者編)

息子とSCの先生との面談後、今度は保護者との面談をしたいとSCの先生から担任の先生を通じて相談がありました。できれば両親揃ってとのお話でしたが、夫の仕事の都合で私(母)だけが面談をさせてもらいました。

まず、息子から聞いた最初のトラブルについて、衝撃的なことを告げられました。パート①で少し触れていますが、下校中に友達とトラブルになった際、息子は「寝ていた」と言っていましたが、実はこれは、すごくショックなことを無理やり忘れようとして自らを失神させて記憶を消してしまおうとする人間の本能的な行動だというのです。SCの先生によれば、言葉として何を言われたのか、どんな状況だったのかまでははっきりとは確認できなかったけど、これはかなり精神的にショックを受けている証拠ですとのことでした。
このことを知った時、そんなに大きなショックを受けていたのに、翌日には「頑張って学校に行こう」といった自分をとても後悔しました。息子が小さな体と心で戦っていたのだと思うと、親として何も分かっていなかったんだなと、涙が止まりませんでした。

また、息子と面談を重ねていく中で、これからどうしていきたいのか、そのためには今何をすべきかなどを話し合ったそうです。息子からは、「また教室に戻りたい」「元気になりたい」といった前向きな考えがある一方で、「みんなから怪しまれている」「教室にはいると辛いことを思い出してしまう」といったネガティブな発言もあったそうです。
SCの先生によると、周りからどう思われているかが気になるのは、思春期特有の感情で、成長の過程であるとのことでした。
また息子は、客観的に自分がどんな状況に置かれているのか、そしてこれを克服するためには何が必要かを考える力があるそうです。これは、小6男子としてはかなり進んだ考え方だそうで、周りの子どもたちが年相応の精神年齢だとすると、恐らくこれまでに色んな所でギャップを感じていたはずですと言われました。

それから、家庭での声掛けの時に「頑張れ」とは言わないでくださいとのことでした。私も夫も、息子に対しては励ましのつもりで「頑張って教室に入ってみよう」「頑張って学校に行ってみよう」と言っていました。昔、私たちが小学生の時はこの「頑張る」は美徳として扱われてきましたが、今は頑張らなくてもいい・学校は休んでもいいことも一つの選択肢だそうです。「もしかしたら、息子さんは親御さんのプレッシャーにも何とか応えようと無理をしていたんだと思います。ご夫婦でも、よく話し合ってみてください。」とも言われました。

この時は2学期ももうすぐ終わる頃で、冬休みを家庭でゆっくり過ごして、なるべく学校のことは話題に出さず、家は安心できる場所で親はどんな自分でも受け入れてくれるというような言葉かけを行ってみてくださいとアドバイスがありました。

SCの先生との面談で、息子の意外な一面を知って、そして親として反省すべきことも確認でき、とても有意義な時間だったと思います。

 

次回は、フリースクールの選択肢・コロナ禍の休校・親としてどう向き合うのかなどをお伝えします。

 

 

 

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