昨日、12月18日はNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の最終回でしたね。もともと脚本の三谷幸喜さんのファンでずっと見ていたドラマでしたが、最終回では小池栄子さん演じる北条政子に心奪われた神回でした。
※ここからネタバレ含む
最終回は承久の乱から描かれ、その後徐々に北条義時の体が弱っていき、ラストで絶命するという展開。
途中、義時の妻のえが毒を盛っていたことや、その毒は盟友・三浦義村がのえに渡していたこと、他にも色んなエピソードが描かれました。
そして、義時と姉・政子のシーンは何と13分もあり、大河ドラマの歴史に刻まれる神回でした。
縁側に座り、政子とこれまでを振り返る義時。その時、政子には「病で死んだ」と伝えていた2代目鎌倉殿・源頼家の死の真相を話してしまい、政子にとって我が弟が息子の命を奪った事実を知らされます。
この時の、「鎌倉殿の13人」のタイトルに込められたもう一つの意味に、改めて三谷幸喜さんの脚本の凄さに驚愕しました。
そして、義時は急に体調が急変し苦しみだし、次に苦しくなったら飲むよう言われていた「毒消し」を姉・政子に取ってほしいと頼みます。しかし、政子はその器を手に取ると、義時の目の前で床にこぼします。
息子・泰時のため、そして鎌倉のためにまだ自分の手を汚そうとここで死ぬわけにはいかないと薬を望む義時に、これ以上罪を重ねずこのまま死ぬことを強いる政子。義時は床を這いながら、こぼれた薬を舐めようと力を振り絞りますが、直前に政子の着物の袖で拭われます。この生と死の駆け引きは圧巻でした。
政子の行動に、最初は息子の敵討ち⁈とも思いましたが、自分が源頼朝の妻となったばかりに北条家の運命を、そして義時を鬼にさせてしまったことへの罪滅ぼしなのか、姉としてこれ以上義時が罪を重ねないようにする究極の選択だったのか、演じる小池栄子さんの言葉の抑揚や表情が心に迫ります。
ラストシーンは、息絶えた義時に駆け寄った政子との2ショット。政子のすすり泣く声だけが響き渡り、その声を残したままエンドクレジットと「完」の文字。もう鳥肌が立ちました。
個人的には、このドラマは小池栄子さんの代表作になると確信するくらい、他のどの役よりも印象に残りました。歴史上の政子については、悪女なのか聖女なのかと賛否が分かれるところですが、三谷幸喜さんは慈愛に満ちた政子を描きたかったのかもしれません。それにより、愛に包まれながらも運命に翻弄される義時はじめ北条家の男たちの人生がより儚く・壮絶に表現されたのではないかと思います。
義時の最期が、まさか姉・政子によってとどめが刺されるとは、改めて三谷幸喜さんの脚本の素晴らしさ、そして小栗旬さんと小池栄子さんの濃密すぎる13分に心が震えました。