2023年春、我が家のひとり息子が高校進学のため家を出ました。と言っても、自宅から車で1時間程度の夫・祖父母宅での下宿です。なので完全に子育てが終わった子離れの「卒母」ではなく、でも離れて住むことになったいわゆる「プチ卒母」状態です。
※卒母とは・・・文字通り、「母親」を「卒業すること」。進学や就職などで子どもの1人暮らしが始まって子育てが一段落したり、結婚などで法的にも扶養から外れるタイミングなどが多いようです。漫画家の西原理恵子さんが2017年に出版した、自身の“卒母宣言”となった『卒母のススメ』で話題になりました。
去年の今頃は想像していなかった「プチ卒母」。息子が家を出て数カ月が経ちましたが、思いもよらない悩みが出てきたりと、送り出した私たち両親もいまだに落ち着かない日々を過ごしています。そんな、3人家族の備忘録をお伝えします。
今回は、「下宿解消の危機」についてお伝えします。
※過去記事こちらから↓
・【プチ卒母】15才で家を出たひとり息子の話①
・【プチ卒母】15才で家を出たひとり息子の話②
・【プチ卒母】15才で家を出たひとり息子の話③
下宿解消の危機
きっかけは体育祭の打ち上げ
だんだんと雲行きが怪しくなってきたのは、5月に開催された体育祭の頃でした。息子から「体育祭の日、夜にクラスで打ち上げがあるから行っていい?」と祖父母が尋ねられたそうです。
高校生が打ち上げ?しかも夜に?と70オーバーの高齢者二人は心配で当然拒否反応が出ます。「高校1年生が夜に打ち上げなんて、預かっている立場としては行くのに反対。だけど、最終的にはお父さん・お母さんに聞いてみなさい。」と返事し、さっそく私に義母から電話がありました。
打ち上げと聞いた時は、正直私も面食らってしまいました。何せ、育った場所が地方の田舎なので、それまでは子どもだけで映画に行くにも電車で小一時間かかってましたから・・・。不良になるにも夜に出かけられるゲームセンターや繁華街も何もない所でしたから、現在息子の住んでいる場所は県庁所在地でもあるので、夜に出かける=不良の始まり(とっても偏見ですが・・・)みたいな図式がありました。打ち上げも、後日の昼間ならまだしも当日の夜に?これを許してしまうと、2回目3回目も行くことになって、夜の繁華街の楽しさを覚えてしまう・・・、そんな嫌な予感がありました。
一緒に住んでいるなら、会場まで送って迎えに行くことで何とか行かせたかもしれませんが、離れて暮らしてるのでそれもできないし、義父母にそこまではお願いできない立場にあり、今回は息子に諦めてもらうことにしました。息子は行きたがっていたのを聞いていたので、その気持ちは分かるし体育祭盛り上がっているのは良いことだと伝え、でもやっぱり高校1年生で夜に打ち上げはまだ早すぎるし行かせられないと、LINEで長文を送りました。息子からは「はい」の一言のだけの返事。その日は、荒れた態度だったみたいで、そのことについても義母から電話がありました。息子の初めての反抗的な態度に義母がびっくりしていて、親としてはひらすら謝るしかなかったですし、精神的な負担を与えていることに本当に申し訳なかったです。
ぎくしゃくしてきた三角関係
体育祭が終わるとまた部活中心の生活になり、相変わらず帰りも遅く、義父母に心配をかける日々が続いていました。そうなると、とくに義母からの愚痴電話が増えてきました。具体的には「最近帰りが遅い」「休みの日の部活帰りに毎回遊んでいるみたい」「ずっと携帯ばかり見ている」「最近口ごたえをするようになった」などです。義母は本当によく世話をしてくれるのですが、ちゃんと預からないとという責任感も強く、それで色々と心配になって小言を言ってしまうようでした。
息子としても、もちろんおじいちゃん・おばあちゃんに感謝はしつつも、ちょっと厳しすぎない?的な感情もあり、反抗的な態度を取ることが増えてきたようです。
義父母に申し訳ないやら、そんなに心配をかける息子にも腹が立つやら、でも息子の気持ちも分かるし・・・、と私たち夫婦も悶々とした日々を過ごしていました。中でもきつかったのは義父母の愚痴を受け止めることでした。完全にお門違いな感情ですが、息子の愚痴を言われる度に、これまでの私たちの子育てを否定されているようにも感じてしまい、いっそのこと他に下宿を探して、みんな今の状況から解放された方がいいのかなと、夫とは本気で他の下宿先を調べたりもしました。
当時の感情の関係はこのような図になります。(まあ、半年以上経った現在でもあまり大きな変化はないですが・・・)一度家族全員が揃ったときに、このまま心配をかけ続ける生活を送るなら今の下宿を解消してどこか別の下宿先を探すか、最悪我が家から通わせることも話し合いました。両親は下宿を解消するまでは思っていなかったようで、今後の息子の生活態度が悪くなったらもう一度考えようということになりました。息子には、もう高校生なんだし家族に心配をかけないようにする責任もあることや、厳しくしているのはみんな息子のことを心配しているからで意地悪ではないことなどを、なるべく穏やかに言って聞かせました。本人も反省する気持ちがあったみたいで、素直に聞き入れてくれて、しばらく様子をみることに落ち着きました。
ルール作りは最初が肝心!
下宿解消の危機を振り返って反省したことは、最初に生活のルールを決めておけば良かったということ。あまり厳しすぎるのも窮屈かもしれませんが、最初が肝心です!
普段の門限だったり、夜の外出はOKなのか何時までに帰ればOKとか。この時に大事なのは、親が一方的に決めるんじゃなくて、本人の意見も聞くこと。そうすると、後々自分でも決めたルールなんだから守るのは当然だという意識が出てくると思います。
今回我が家では、
・部活後の門限は20時
・友達と出かけても21時までには帰る と新たに決めました。
それから、許可がいる相談は私たち両親にまずすることを約束させました。息子としては、私たち親よりも優しくてちょっと甘い義父母のほうが相談しやすかったのかもしれません。息子の生活について、義父母から私たちに相談されて初めて知ったようなこともあったので、ちゃんとお父さん・お母さんにも共有して、お互いに知らなかったことが無いようにしようと決めました。
第4回では下宿解消の危機をお伝えしました。この後しばらくは、夏休みも部活三昧、夏祭りもちゃんと門限までに帰ってきたし穏やかな日々でしたが、2学期になりまたもや暗雲が・・・。
次回は、再び緩み始めた生活と、息子に彼女ができたお話です。