【気になる言葉】~と思います編

テレビなどのリポーターの言葉で、気になるものがあります。

例えば、できたばかりの遊園地をリポートするとします。コーナーの冒頭で、「それでは、早速中に入ってみたいと思います。」中に入ったら入ったで、「次にこちらのアトラクションをご紹介したいと思います。」遊園地の方にインタビューする前に「では、○○遊園地の△△さんにお話を聞いてみたいと思います。」

「~と思います。」を連発しているのが気になるんです。筆者はこれまで、テレビのキャスター・リポーターやイベントの司会・ナレーションなど話すことを仕事としてきましたが、これ、新人の頃アナウンサーの先輩からよく注意されていました。「~と思います。」を使うと、何となく柔らかく無難に文章を終わることができるんですよね。特に、原稿などを見られない現場リポートでは、カメラの動き、ゲストのインタビュー、次のシーンへの導線、スタジオキャスターとの掛け合い、生放送の場合は残り時間など、リポーターは同時に考えないといけないことがたくさんあります。それで自分の言葉がなかなか整理できなくて、ついつい「~と思います。」って使っちゃうんです。先述のコメント、正解は一つではありませんが、「それでは、早速中に入ってみましょう。」「次にご紹介するのは、こちらのアトラクションです。」「お話を伺います。」などシンプルに言い切るのが理想です。

筆者の尊敬するアナウンサー・安住紳一郎さんも、「話すチカラ」という本の中で「~と思います。」問題を取り上げていました。一般の方たちは気にならないかもしれませんが、あまりに使いすぎると「あなたの思いはどうでもいいから、もっとシャキシャキと伝えてよ!」とモヤモヤして肝心な情報が入らなくなります(あくまで筆者の感想です)。文末をシンプルに言い切るには、文章を組み立て話すという高度な表現力、そして勇気が必要です。訓練したアナウンサーでも、気を抜くとついつい出てしまいます。安住さんのコメントを聞いていると、「~と思います。」は出てこず、さらに文章は短く、間の使い方もさすがで、安住さんの個性を出しつつもゲストを引き立て、さらに情報もちゃんと入ってくる、もう名人の域に達しています。(特にラジオが素晴らしいんですが、その話はまた別の機会に・・・)

これは決してアナウンサーのプロの世界の話ではなく、例えば就活の面接時・PTA役員会の司会を頼まれた時・職場で上司や取引先と話す時など、普段の生活の中で気を付けてみると、印象がだいぶ違ってくるものです。すぐには難しいかもしれませんが、ぜひ挑戦してみてください!!

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