秋になると、多くの学校で行われる合唱コンクール。
筆者の息子が通う中学校でも例外ではなく、この時期になると昼休みの校内には、クラスごとに練習する歌声が響き渡ります。
正直に言えば、最初はこう思っていました。
「男子はふざけて、まともに歌わないのではないか」と。
しかし実際は違いました。
この合唱コンクール、全校生徒が“本気”で取り組む行事だったのです。
指揮を任された息子と、今どきの練習方法
そんな中、息子はクラスの指揮者に選ばれました。
毎日のように悩みながら、どうすればクラスをまとめられるか試行錯誤しています。
かつてであれば、音楽教師の指導に頼る場面かもしれません。
しかし今は違います。
息子が参考にしていたのは、過去の合唱コンクールの動画でした。
その中で「これはすごい」と教えてくれたのが、今回紹介する合唱動画です。
【神回】最優秀 指揮者賞 受賞作品 中島みゆき「糸」 高校生合唱コンクール
一見“面白い”だけに見える指揮、その本質
動画で印象的なのは、糸の歌詞に合わせて、
- 「縦の糸」で縦に振る
- 「横の糸」で横に振る
という、ユニークな指揮です。
一見すると、会場の笑いを誘う“パフォーマンス”にも見えます。
実際、観客は大いに盛り上がります。
しかし、ここで注目すべきポイントは別にあります。
なぜ誰も笑わないのか——完成されたチームの証明
あれだけ印象的な指揮にもかかわらず、歌っている生徒たちは誰一人として笑っていません。
- 男子は少人数でも力強い声量を維持
- 女子は安定したハーモニーで楽曲を支える
- ピアノ伴奏は暗譜で、演奏に集中
そして指揮者は、
- 曲の世界観を身体全体で表現し
- テンポや強弱を明確に伝え
- クラス全体を一つにまとめている
つまりこの合唱は、単なる“面白い動画”ではなく、徹底した準備と信頼関係によって成立した完成度の高い表現なのです。
指揮者の役割は「目立つこと」ではない
この動画から読み取れる、指揮者の本質的な役割は明確です。
- 全パート(歌・伴奏)を理解する
- 楽曲の解釈を深める
- クラス全員のタイミングと感情を揃える
見た目は派手でも、その裏側では極めて論理的かつ繊細なコントロールが行われています。
特に、歌い手側の視点で見ると、「歌いやすく導いている指揮」であることが分かります。
「笑い」と「感動」を両立させる構造
この合唱が多くの人の心を動かす理由は、構造にあります。
- 最初に“意外性”で笑いを生む
- 徐々に音楽の完成度に引き込まれる
- 最後に一体感で感動へ転換する
つまり、感情の振れ幅を意図的に設計しているパフォーマンスなのです。
若者への見方が変わる瞬間
この動画には、指揮者だけでなく、クラス全体への賞賛の声が多く寄せられていました。
一部で語られがちな「今どきの若者は…」という見方とは対照的に、
- 本気で取り組む姿勢
- 仲間と完成度を高める努力
- 観る人に伝える力
これらを備えた高校生の姿が、確かに存在しています。
合唱コンクールが持つ本当の価値
合唱コンクールの本質は、単なる発表ではありません。
- 意見の衝突
- 方向性の違い
- 練習の積み重ね
その過程で生まれる葛藤を乗り越え、一つの表現として完成させる経験に価値があります。
まとめ
この合唱動画が教えてくれるのは、
- 面白さは「入口」に過ぎない
- 本質は「積み重ねた努力」と「信頼関係」
- 指揮者は“目立つ存在”ではなく“支える存在”
ということです。
そして何より、一つの目標に向かって全員でやり切る経験こそが、最大の成果と言えるでしょう。
筆者としては、息子にもこの動画から何かを感じ取り、その過程にある苦しさや達成の喜びを、実体験として掴んでほしいと願っています。