我が家の中学2年生の一人息子は、小学6年生の2学期末から3学期にかけて保健室登校をしていました。今は、友人にも恵まれ部活に熱中したりと中学校生活を楽しんでいますが、当時を振り返ると、息子・学校の先生方・私たち両親、それぞれが悩み苦しんだ時間でした。これから記すことは我が家の記録であり、現在不登校や保健室登校で悩んでいる人たちの解決策にはならないかもしれませんが、母としての私の反省も含めまとめてみました。
小6男子保健室登校の記録①はこちら
小6男子保健室登校の記録②はこちら
フリースクールという選択肢
息子の保健室登校を見守る中で、夫とよく話題に出ていたのが「フリースクール」という選択肢でした。たまたま私の知人が、小学校高学年のお子さんをフリースクールに通わせているいうという話を聞き、フリースクールについて詳しく教えて頂きました。
そのフリースクールは、主催している方のお子さんのために作ったそうで、自分の興味のあることをとことんやるというスタイルで、ダンスや音楽、歴史や化学など、好きなことを学んでいきます。もちろん、学校で教えられている一般的な教科も授業として取り入れているそうで、勉強が好きで漢字検定や英検などの検定マニアの子もいるそうです。小学校や中学校になじめなかった子どもたちも、そこでは自分らしく生活できるそうで、知人のお子さんもとても明るくなったそうです。
自治体や通っている小学校の校長先生の判断によっても異なりますが、フリースクールに通った日数は小学校へ登校したものと認められる「出席扱い」になることも知りました。
しかし、フリースクールに通うとなると送迎のサポートや経済的な負担など、我が家で果たして現実的な道なのかとかなり悩みましたが、もし息子が興味があるというのならその時は全力でサポートしようと夫と話し合いました。
心配はせずに信じればいい
先述したフリースクールにお子さんを通わせている知人に、必然的に親としての私の悩みにも相談に乗ってもらいました。息子のこれまでのいきさつやスクールカウンセリングを受けたこと、「頑張れ」と言ってはいけないと言われ息子にどう言葉をかけていいか悩んでいることなどです。
一通り私の話が終わると、その方は「大丈夫。心配でしょうがないかもしれないけど、心配はしなくていい。その代わりに、子どもを信じればいい。」と言ってくれました。その言葉を聞いた時、「ああ、私はこれまで心配ばかりしていて、息子を少しも信じていなかったんだ」と涙が止まりませんでした。
私はとても心配性で、物事を悪い方へ悪い方へと考えてしまい、リスクを避けて安全な道を選ぶタイプです。息子の保健室登校についても、「このまま不登校になったらどうしよう」とマイナスなことばかり考えていました。
学校だけが息子の世界ではないことは頭ではわかっていたものの、息子を信じてあげることができずに良かれと思って励ました言葉が余計なプレッシャーを与えていたのです。息子が学校へ行きたくないなら、息子を信じて思い切って休ませればいい。息子を信じることで、それが素直にできる気がしてきました。
当時を思い返すと胸が苦しくなりますが、あの時の知人が言ってくれた言葉は、今でも私を支えてくれています。
コロナ禍の休校に助けられたこと
そして3学期が始まり、やはり息子は多くの時間を保健室で過ごしていましたが、一日も休まず学校へは行っていました。これは息子が決めたことで、また教室に戻りたい、みんなと一緒に卒業式に出たいという目標があったからです。先生とも相談し、息子のペースを尊重してくださり、今日はどんなふうに過ごすのか予定をまず朝の登校後に保健室で一緒に考えてくれました。教室に入れた日、休み時間に友達と遊べた日、やっぱり教室に入れなかった日、保健室で一日過ごした日、保健室に友達がお見舞いに来てくれた日、自分の悪口を言われた日・・・。音楽や理科などの特別室での授業には何とか足が向くようになりましたが、やはり教室に入ることにトラウマがあるようで、1日教室で過ごせた日はありませんでした。
息子の学校での様子に一喜一憂する日々が続いていましたが、2020年の2月末、新型コロナウイルスの影響で全国の学校が一斉に休校になることが発表されました。世の中は大変なことになっていましたが、正直ホッとしました。息子は学校を休むことに抵抗があり本当は休みたいのにそれが言い出せなかったようで、休校となればいい方はおかしいですが堂々と学校を休めるのです。これは、私たち家族にとってひと時の安らぎにも思えました。幸い、息子はあるスポーツの少年漫画にはまっていて、中学校ではその部活に入りたいと言っていたので、休校中は自分でトレーニングの計画を立てたりして、ゆっくりと過ごせたようです。友達に会えないことは寂しかったようですが、その分、登校日は友達に会えると喜んで学校へ行ってくれました。感染症対策で給食などはなく、登校日は主に卒業式の練習だったのでそれほど負担にはなってなかったようです。
小学校卒業、そして中学へ入学
そして迎えた卒業式当日、お天気は良すぎるくらいの晴れ。コロナ禍での卒業式は、在校生の姿もなく、マスク着用といういつもと違う雰囲気でしたが、これまでのことを考えると、今日卒業式に参加している息子をとても誇らしく思いました。
結局最後まで完全に教室に戻ることはできませんでしたが、本当に息子はよく頑張ったと思います。卒業と入学という人生の節目の春を、なるべく穏やかにゆっくりと過ごせたらという思いで、春休みを過ごしました。
そして4月、無事に中学校へ入学しました。息子の通う中学校は、校区内3つの小学校から入学してきます。そのことが息子にとっては良かったみたいで、小学校の時のヒエラルキーも一度解散し、また一からそれを構築していく状況の中できっと立ち直ります的なことは、小学校の先生たちやスクールカウンセラーの方からもよく言われていたことでした。
実は、小学校から中学校への申し送りで、保健室登校のきっかけとなった下校中にトラブルとなったメンバーとは同じクラスにならないようにと希望を出していました。なので、その子たちと距離ができたことも、息子が中学校生活をスムーズに始められた理由の一つだと思います。
中学校に入学してからも、すぐにコロナ禍の休校があり、学校が再開されてからは部活も始まり、今のことろ大きなトラブルもなく学校生活を送れています。1年生の時に、担任の先生から、スクールカウンセラーの面談を希望しますか?とのことでしたが、息子の様子も安定していたことと息子も大丈夫というので、中学に上がってからはカウンセラーの面談などは特に行っていません。
まとめ
ここまで、私たち家族が体験した息子の保健室登校を書き記しましたが、現在お子さんの不登校などの方へのアドバイスにはあまりならないと思います。子どもは一人一人人格も違いますし、家庭環境や親の価値観もそれぞれです。
それでも一つ言えるとしたら、やはり、子どもを信じることです。当たり前のようで難しいことだと思いますが、様々な悩みに直面した時は、この言葉に戻ると、自ずと解決策や方向性が見えてくると思います。そして、学校の先生や専門家の助けを積極的に求めることです。
私の場合は幸い、たくさんの方たちに助けられました。やはり、子どもも親もSOSを何かの形にするのはとても大切なことと思います。
現在、不登校などで悩んでいる方たちに、明るい未来が訪れることを願っています。